続いては、兵庫県の有名温泉地にある有馬の炭酸せんべいだ。
有馬温泉は炭酸泉が湧くことで知られる。この炭酸泉を使用したパリッとした軽い食感の炭酸せんべいが、定番のお土産として有名である。炭酸が含まれるのでこうした触感になるという。
通常であれば、缶や箱に梱包されたお土産を観光客がこぞって購入するのだが、いま話題になっているのは「賞味期限5秒のなま炭酸せんべい」だ。
炭酸せんべいは、焼いた後に型から外すとふにゃっとやわらかい状態になる。しばらく置いていると乾燥し、本来のパリッとした食感になる。焼きたてを食べることで、ふにゃっとした「なま炭酸せんべい」を味わえるのだ。また、食べ進めるうちに徐々に乾燥していく。つまり、食感が変わるプロセスも楽しめる。
これは、変化を楽しむグルメである。そして、現地でしか食べられない究極の「瞬間グルメ」だ。
「出来たて」「焼きたて」といわれるより、「賞味期限5秒」と提示される方が、なんとも興味をそそる。きっとその文言を見れば、お土産を購入したついでに、その場でつい1枚追加で購入し、食べてみたくなるだろう。
また、お土産を友人に渡す際、自分が食べた賞味期限5秒のせんべいについて熱く語る人もいるだろう。そのことで商品の価値も向上する。SNSなどでもストーリーを伝えやすく、拡散も狙える商品だ。お土産マーケットも外食同様に過酷な競争が続いている。このような話題性のある商品を展開すると、既存商品の販売も伸ばせるだろう。
炭酸せんべいのような商品は、信玄餅で知られる山梨県にも存在している。ウイスキーで有名な白州がその地域にあたる。ここでは、おいしい水をふんだんに使用した「水信玄餅」を提供しており、独特の透明感が特徴だ。こちらの賞味期限は30分。長時間置くと水分が抜けてしぼんでしまうのである。
なんともはかない商品ではないか。
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