賞味期限5秒のせんべい!? じわり広がる「瞬間グルメ」の正体食の流行をたどる(3/5 ページ)

» 2020年08月31日 15時00分 公開
[有木 真理ITmedia]

賞味期限20分のバナナジュース

 既存商品に賞味期限を設けたことで、新しい付加価値を獲得した商品も紹介しておこう。

 昨今、賞味期限20分のバナナジュースを提供するバナナジュース専門店が話題になっている。

 そんな専門店の代表格が「そんなバナナ(sonnabanana)」。なんともいえない濃厚なバナナジュースは、バナナと牛乳以外何も使用していない。牛乳の分量も最小限で、ストローで吸うのも苦労するほどだ。

ネクストタピオカと名高い賞味期限20分のバナナジュースを提供する「そんなバナナ(sonnabanana)」(出所:そんなバナナ公式Twitter)

 この商品に注目が集まったのは、「賞味期限」の短さであろう。1杯450円程度で販売しており、中には希少価値の高いバナナを使用した1000円を超えるバナナジュースも存在する。ネクストタピオカとしても名高く、店舗の前には行列ができている。

 バナナジュースは、駅構内で安価に販売していたり、自宅で気軽にミキサーで作ったりするものだった。バナナは、皮をむかなければ日持ちするが、いったん皮をむいてしまえば劣化は早い。すぐに黒くなり、苦味と渋みが出てくる。このデメリットを逆手にとり、「賞味期限が短い」という商品の価値を生み出した。

 「限定」「特別感」を出すことは、その食材に注目してもらう一つの戦略といえよう。

 「かき氷」も究極の瞬間グルメだろう。もともとは縁日などで安価に食べられる商品がプレミアム化されている。天然水を使用したふわふわの高級氷を使用したり、シロップやトッピングに工夫を凝らしたりするかき氷専門店が増えている。価格も1000円前後するケースが多い。まるでケーキやカクテルのように手の込んだこだわりの商品が増えたこともあるが、かき氷の特性上、溶けやすく、そのお店に行かなくては食べられないため、その特別感が話題となったのだろう。

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