「レモンサワー」「一人焼き肉」「ギョーザ」「パンケーキ」「かき氷」――毎年のように新たなブームが生まれる。これらのブームの背景を、消費者のライフスタイルの変化や業界構造の変化も含め、複合的に分析していく。
いま、瞬間グルメに注目が集まっている。
瞬間グルメと聞くとみなさんはどのようなことを想像するだろうか? 端的に言えば、限りなく賞味期限の短い食べ物である。中には、「賞味期限5秒」といった驚きの商品もあるのだ。
その場に、その瞬間、立ち会わなければ食べられないという“はかなさ”さえ感じるグルメを求め、消費者はわざわざお店に足を運び、行列を作っているのだ。
InstagramなどのSNSでも「賞味期限●分、●秒」といったハッシュタグを目にすることが多くなり、その話題性の大きさが伺える。
外食の競合は中食だけではない。コロナ禍でライフスタイルが大きく変化したため、内食でさえ大きな競合となった。お店に足を運ばなくては食べられない究極の食事。これこそ、外食の価値を最大限に提供する商品ではないだろうか?
では、その事例をいくつか紹介していきたい。
まず1つ目は、「元祖瞬間グルメ」ともいえる東京・代々木にある「モンブランスタイル」だ。
栗スイーツ専門店で、店内には寿司屋のようなカウンターがある。注文が入ってから1個ずつ丁寧に作りあげてくれるモンブランが有名だ。
ケーキの特徴は、お持ち帰りであってもお店で食べるのとクオリティーが変わらないことだろう。だが、同店では出来たてしか提供しない。栗は鮮度が命で、空気に触れるとどんどん劣化が進む。絞り出された瞬間が、栗の香りやクリームの触感が最もおいしいからだという。
お店に行かなければ食べられない究極のモンブラン。ここに価値があるのだ。そのため、朝に配布する1日分の整理券は一瞬でなくなる。
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