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» 2020年09月03日 09時33分 公開

KAMIYAMA Reports:年金運用でバリューとグロースを区別するようになった理由 (1/2)

グロース株相場はいつまで続くのか、バリュー株はどうなるのか、といった質問が増えている。金利水準との関係などを話題として、どのような推移となるかを考えるアプローチもある。しかし、個人投資家にとってグロースかバリューかは重要ではない。

[神山直樹,日興アセットマネジメント]
日興アセットマネジメント

 グロース株相場はいつまで続くのか、バリュー株はどうなるのか、といった質問が増えている。金利水準との関係などを話題として、どのような推移となるかを考えるアプローチもある。しかし、個人投資家にとってグロースかバリューかは重要ではない。

 そもそもグロースかバリューかを選ぶという投資は、ファンドマネージャーの性質を分散しようとする年金資金の運用の都合から生まれ、「そうせざるを得なかった」のであり、先進的な運用手法というわけではない。

 確かにプロのファンドマネージャーも「バリューがくる」とか「グロースがくる」などということはあるが、経済の動向からリターン・リバーサル(下がった銘柄ほど上がりやすい傾向)期待の高まりなどを想定して、結果として“バリューがくる”などと考えるに過ぎない。PBR(株価純資産倍率)で市場全体をバリュー(低PBR)やグロース(高PBR)というグループに分けて分析対象とし、銘柄選定を行うのは、一部のクオンツ投資やテクニカル分析に限られている。

日米株価指数のスタイル別パフォーマンスの差

 そもそも年金資金の運用は、自らが運用するのではなく、スポンサー(年金基金や企業年金などの資金運用担当者)の選ぶファンドマネージャーが行う。スポンサーは、株式のファンドマネージャーが、バリュー運用が得意か、グロース運用が得意かに分かれることに気づいた。そこで、スポンサーはグロースかバリューかでファンドマネジャーを分散・多様化したり、分散しすぎてインデックス運用と同程度の成績にならないように、運用者の分析を行うようになった。

 それゆえ、バリュー/グロース指数が生み出され、運用内容を分析しやすくしたのだ。つまり、グロースやバリューは、もともと運用スタイルとして投資の世界に存在していたものを、運用専門家を選ぶ年金スポンサーの観点から分析するようになったことで定着した。

 こう考えると、高PBRの銘柄群が低PBRの銘柄群よりもパフォーマンスが良いかどうかは、投資においては重大な問題ではない。確かに、日本でも米国でも過去10年ではバリューがグロースに負け続け、しかも2020年に入って大きく負けている。だからグロース株相場はいつまで続くのか、バリュー株はどうなるのか、という質問につながるのだが、後述するように、コロナ・ショックからの回復を含む経済情勢を見ながらセクターを選択するほうが、投資としてはわかりやすい。

 金利やその他の指数でバリューがくるかグロースがくるか(PBRが高い銘柄パッケージを持つか、低い銘柄パッケージを持つか)を当てるのは、短期(1年以内など)のトレーディング戦略としてはあり得るが、長期投資では良い視点だとは考えていない。

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