「コロナでカジノは白紙」の今こそ、IRより“分散型リゾート”が必要な理由スピン経済の歩き方(5/5 ページ)

» 2020年09月08日 08時30分 公開
[窪田順生ITmedia]
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巨大ハコモノの崩壊は目に見えている

 これまで日本の総理といえば、安倍さん、麻生さん、鳩山さん、という昭和のエスタブリッシュメントの末裔か、小泉さんや福田さんのような政治家一族。庶民でも野田さんや菅(直人)さんのような公務員やサラリーマン家庭出身だった。秋田の農家に生まれ、世襲政治家ではないという「菅総理」はかなり異例だ。

 裏を返せば、地方で冷遇されている人たちの痛みを身をもって分かっている初めての総理ということになる。

 ウイルスパニックと巨大地震が控えるこの国で、「統合型リゾート」のような巨大ハコモノを建てても、「バベルの塔」のように崩壊することは目に見えている。官房長官として危機管理能力を磨いたという菅氏にはぜひ「地方の危機」を察知して、地域が自分たちの力で稼ぐことができる「分散型リゾート」の必要性に目を向けていただきたい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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