攻める総務

コロナ時代の「オフィス再構築」が、ただ「縮小」では終わらない理由 総務にとってチャンスか、ピンチか新連載・総務プロの「攻めと守り」(1/3 ページ)

» 2020年09月15日 07時00分 公開
[金英範ITmedia]

 2001年前後のITバブル、08年のリーマンショックなど、市場を揺るがす大きな環境変化が起きた際には必ずといっていいほど、オフィスの再構築が起きています。そんな歴史の観点に立つと、新型コロナウイルスの感染拡大が引き起こした「オフィスの再構築」(リストラクション)は定番の流れでもあります。

 ただ今回のコロナ禍は過去の変化とどのように性質が違うのでしょうか。それらを解き明かすと、これまでと共通する一般則と今回新たな進化を促している特殊な側面が見えてきます。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 まだコロナ禍の最中なので、総務は大きな環境変化に対する経営判断を仰ぎながら対応に追われ、どちらかというと戦略というよりは目先のオペレーションに翻弄(ほんろう)され試行錯誤しているかもしれません。ただそのような時だからこそ、過去の経験、その連続する軌跡を振り返って分析すれば、今後の総務の戦略、役割変化、その進化の方向を冷静に予測できるのではないでしょうか。

著者紹介:金英範

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 株式会社 Hite & Co.代表取締役社長。「総務から社員を元気に、会社を元気に!」がモットー。25年以上に渡り、日系・外資系大企業の計7社にて総務・ファシリティマネジメントを実務経験してきた“総務プロ”。

 インハウス業務とサービスプロバイダーの両方の立場から、企業の不動産戦略や社員働き方変化に伴うオフィス変革&再構築を主軸に、独自のイノベーティブな手法でファシリティコストの大幅な削減と同時に社員サービスの向上など、スタートアップから大企業まで幅広く実践してきた。

 JFMAやコアネットなどの業界団体でのリーダーシップ、企業総務部への戦略コンサルティングの実績も持つ。Master of Corporate Real Estate(MCR)認定ファシリティマネジャー、一級建築士の資格を保有。


ただ「縮小」では終わらない理由

photo (注)筆者の経験に基づくもので、一般的なデータに基づくものではありません

 私自身の25年間、外資系・日系企業の合計7社をまたぐ“総務プロ”としての経験からすると、ITバブル崩壊(01)、リーマンショック(08)、コロナ変革(20)では図のような変化が起きています。

 いずれも総務の立場から共通していえる部分は、不動産(オフィス)需要の縮小、つまり市場からすると、その後、空室率が上昇したことがファクトとして挙げられます。

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