新型コロナウイルス感染拡大で、多くの企業が在宅勤務やテレワークに取り組み定着させつつある中、押印のためにやむなく出社する「ハンコ問題」が浮き彫りとなっている。GMOインターネットグループは4月に「脱ハンコ」を宣言。グループ全体で「ハンコの完全撤廃」を推進し、契約も「電子契約」へ切り替える方針を決めた。
現在、同グループでは「さよなら印鑑キャンペーン」を実施。特設ウェブサイトでは9月30日の午後6時まで、「みんなの『無駄ハンコ実態調査』2020」という意識調査を行っている。9月15日時点で脱ハンコ賛成派が6万4617票、脱ハンコ反対派が1万1420票で、多くの人が「脱ハンコ」の動きに好意的な考えをもっていることが浮き彫りとなった。また、「誰でも簡単に買って押印できる印鑑にセキュリティはない」「ハンコがうまく打てず、書類を書き直さないといけないことがあった」などの押印に関する経験談も多数寄せられている。
クラウド会計ソフトなどを提供するfreee(東京都品川区)が、4月に中小企業に勤める人を対象に行った調査では、テレワークを実施していても出社しなければならないと回答した人は76.7%に上った。その理由としては「取引先から送られてくる書類の確認・整理作業」(38.3%)、「契約書の押印作業」(22.2%)が挙げられている。
GMOインターネットグループで電子認証事業などを手掛けるGMOグローバルサイン・ホールディングス(東京都渋谷区)によると、電子契約の主なメリットとして、印紙税や送料などの「締結コストの削減」、「業務の効率化」、「コンプライアンス強化」が挙げられるという。印刷や押印、送付、ファイリングなどの必要がない電子契約の場合は、契約業務の工数を約80%削減できるとしている。
同社が提供する電子契約サービス「GMO電子印鑑Agree」では、第三者機関の電子認証局によって発行された電子証明書を使って本人性を担保する「電子署名」と、メール認証による本人確認のみで署名できる「電子サイン」の2つのタイプが利用できる。また、手書きサインや本人確認書類添付機能などを備え、様々な契約で利用することが可能だという。現在「さよなら印鑑キャンペーン」に参加した人に対し、最長2年間、GMO電子印鑑Agreeの「契約印プラン(電子サイン)」を無償で提供している。また、実態調査の結果は統計資料として政府へ提出するという。
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