ロゼワインが「子どもっぽい」とされる理不尽 日本でのビジネスチャンスは?食の流行をたどる(5/5 ページ)

» 2020年10月10日 05時00分 公開
[有木 真理ITmedia]
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今後の可能性

 ここまでは、日本のロゼ事情やその魅力について記述してきたが、今後の可能性についてまとめたいと思う。

 まず、消費者にとっての3つのメリットを挙げたい。

 1つ目は「どんな料理にも合う」ことだ。1本で前菜からメインまでマリアージュに迷わない。「何にでも合うからロゼにしない?」とレコメンドすれば、「通っぽい」雰囲気を醸し出せる。

 2つ目は、コスパの良さだ。比較的安価なボトルが多いため、お財布を気にせずに楽しめる。

 3つ目は、その見た目だ。淡いピンクから少し濃い目のピンクまであり、とてもかわいらしい印象を与える。SNS映えすることは間違いない。ランチや外飲みで大活躍するアイテムではないだろうか。

見た目のかわいらしさがSNS映えする

 一方で、飲食店にとってのメリットはどこにあるのか。

 1つ目は、ロゼワインを扱うことで店舗の差別化が可能となり、プロモーションに役立つことだろう。どんな料理にでも合うことは前述したが、その性格ゆえにシーン演出に注力しやすい。例えば、ランチやテラス飲みなど、SNS映えするシーンを提案することで、感度の高い女性客を取り込めるだろう。コロナ禍においては「密」を回避できるテラスや、外飲みなどが支持されやすい。

 さらに、気候との親和性を生かして、春から夏にかけたシーズナリティの高いワインとしての演出も考えられる。フランスのプロバンス地方に倣い、宮崎や沖縄のような南国イメージが強い地域で「ワインを飲むならロゼだよね!」といった地域に特化したブランディングも可能ではないだろうか。

 2つ目は、ファンの囲い込みだ。ワインを取り扱うお店は洋食店、居酒屋、和食、ファミレスなど幅広い。一方、バラエティが豊富なお店はまだまだ少ない。取り扱う種類を増やしたり、店主が厳選したボトルを置いたりすることで、ロゼファンにとってはその店にわざわざ足を運ぶ選ぶきっかけとなる。

 世界中で愛されているロゼワイン。これだけワインを愛飲している日本において、ブームにならないはずがない。冒頭でも申し上げたが、私は無類のロゼ好きである。「ロゼ大使」に任命していただけるのであれば、全力で貢献をしたいと考えている。

著者プロフィール

有木 真理(ありき まり)

「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員。1998年、同志社大学を卒業後、外食チェーン店へ。6年間勤務したのちに、フリーのフードコーディネーターに。2003年、リクルートに入社し、『ホットペッパーグルメ』に従事。全国の営業部長を経たのち、2017年、リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、「ホットペッパーグルメ外食総研」の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300回以上。ジャンルは立ち飲みから高級店まで多岐にわたり、全国の食に詳しい。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。食を通じて「人」と「事」をつなげるイベントオーガナイザーも務める。自らが「トレンドウォッチャー」として情報発信を行う。


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