ビットコインの価格が10月22日に130万円を超え、年初来高値となった。ビットコインは価値を計算する根拠がないため、本質的な価値がないともいわれ、価格変動の大きい資産として知られる。しかし、今回の上昇はこれまでとは少し違う要因かもしれない。
22日に急騰したきっかけは、米決済大手のペイパルによる暗号資産取り扱いの発表だが(記事参照)、それ以前からジリジリと価格は上昇していた。注目なのは企業の動きだ。
これまで、ビットコインに代表される暗号資産(仮想通貨)は、基本的に個人が売買する対象で、取り扱う資産に制約がある機関投資家は、基本的に購入することはなかった。個人を中心とした投機マネーと、それを狙った大口投資家のトレードによって価格の乱高下が繰り返されてきた。
ところが、ビットコイン購入の目的が、投機からインフレ対策に変わってきているという見方がある。
「新型コロナウイルスの影響を受け世界的な金融緩和が進み、ビットコインが個人が投機的に買う投資対象から、インフレヘッジとして機関投資家も買う資産へと見方が変わってきている。機関投資家向けのカストディや保険などが整備されてきていることも一因。日本においても機関投資家の参入が今後見られるのではないか」
こうコメントするのは、国内暗号資産取引所大手bitFlyerの金光碧氏(トレジャリー部部長)だ。
コロナ禍を契機とする世界的な金融緩和によって、これまで以上に流通するマネーは増加しており、次第にインフレが進むのではないかという懸念が各所でささやかれている。インフレに強い資産としては金(ゴールド)がよく知られるが、金はこの1〜2年で価格が急上昇。8月には2000ドル、日本円では7000円を超えるなど過去最高値を付けた(記事参照)。
一方で、金と同様の特徴を持つために「デジタル・ゴールド」とも呼ばれるビットコインは(記事参照)、価格が出遅れており、金に代わるインフレ対策の資産として注目されたという構図だ。
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