ビットコインはデジタル・ゴールドなのか? マネックス大槻氏に聞く(1/7 ページ)

» 2019年11月21日 10時12分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 暗号資産(仮想通貨)の代表例であるビットコインの評価は、これまで二転三転してきた。

 生みの親と言われる正体不明の人物、サトシ・ナカモトのビットコインに関する論文には、「信用に依存しない」「必要なのは信用ではなく暗号化された証明」「第三者機関を通さない」といった表現がしばしば登場する。

 ビットコインが最初にマイニングされたときのジェネシスブロックにも、「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks」(財務大臣の2度目の銀行救済が間近 タイムズ紙 2009年1月3日)とサトシは書き込んでおり、中央銀行に依存する現在の金融の状況を皮肉っている。

 サトシは国家のような中央集権ではなく、非中央集権を志向していたようで、これがプライバシーを重視する暗号関係者の共感を得た。そんな生い立ちから、銀行などを介さずに世界中どこへでも、プライバシーを保ったままで送金できる革命的テクノロジーだと、ビットコインは目されてきた。

 ところが、誕生から複数回に渡って大規模な価格の暴騰が起きる。直近では、2017年に価格が1年で20倍にも上昇し、翌18年には暴落した。これだけ価格が変動すると、送金や決済などには使いにくい。価格が上がるかもしれないものを渡したくはないし、価格が下がるかもしれないものは受け取りたくないからだ。

 当初ビットコインは、クリプト・カレンシー(暗号通貨)と呼ばれてきたが、こんな経緯から、通貨のように決済に使うのは難しいという見方が一般的になってきている。名前も、クリプト・アセット(暗号資産)という呼び方に変わってきた。

 価格の上下はあっても、価値を維持し、保存する役割を担うことが資産の役割。そしてこのとき、しばしばビットコインの比較対象とされるのが「金」(ゴールド)だ。金が埋蔵量に上限があるように、ビットコインはアルゴリズム的に採掘上限が定められている。さらに、価値を保証する発行体がないというのも、ビットコインと金の共通点として挙げられる。

 しかし、果たしてビットコインはデジタル版の「金」になり得るのか。マネックス証券のチーフアナリスト、大槻奈那氏に聞いた。

マネックス証券のチーフアナリスト、大槻奈那氏。マネックス仮想通貨研究所の所長も務める

       1|2|3|4|5|6|7 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.