コラム
» 2020年11月01日 09時00分 公開

定年間近、新しい世界に飛び込んだ:50代管理職が転職を決めた、オンライン副業の収入と働き方 (3/3)

[猪尾愛隆,ITmedia]
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「これ、いいね」 社長の言葉で転職を決意

 男性が転職を決めたのはどのタイミングだったのか。男性は「業務を始めて約1カ月がたったとき、自分が作った検索システムについて副業先の社長が『これ、いいね』と声を掛けてくれた。このときにエンジニアとしての自分のスキルがまだ売れるのではないかと思い、転職を意識する大きなきっかけになった」と振り返る。

 40〜50代は管理職になり、これまでの経験や知識を基に部下を育てる立場になる年代だ。一方で、現場にプレーヤーとして立ち、手足を動かしたいという気持ちを持つ人は多い。管理職にとって、オンライン副業は自分が経験してきたことで再度手足を動かしてプレーヤーとしての能力と市場価値を再確認できると同時に、自身のセカンドキャリアを見つめ直す機会にもなる。

 地方企業では、経験をもとに頭も動かしながら、手足を動かしてコツコツとPDCAを実行できる人材へのニーズが高い。製造業を中心とした大手企業の40〜50代の人材が、地方企業の基幹システムのリニューアルや法人営業、人事制度改善の業務で契約して活躍しているケースもある。

「必要とされる場所で一番得意な仕事をしたい」

 オンライン副業をする前、男性は定年後も再雇用制度を利用し、会社に残ることを考えていた。ただ、再雇用の場合は自分が得意とするエンジニアの仕事ができるわけではなかったという。再雇用独特の雰囲気もあると聞いていた。副業先の会社で自分の仕事を皆が喜んでくれた経験を通して、男性は「本当に自分が必要とされる場所で、一番得意な仕事をやりたいと考えるようになった」と話す。

 とはいえ、仕事のやりがいだけで生活していくことはできない。男性は高校1年生の子どもがいて、まだまだ教育費もかかる。大手メーカーを退職しても、今の仕事と同等かそれ以上の収入を得ることができることが転職の条件だった。

 複数の会社を検討した結果、時給制で働いた分だけ対価が支払われる派遣会社と契約を結んだ。履歴書と面接では、副業で実践した自らが手足を動かして行った業務改善の自動化やソフトウェア開発の実績をアピールしたという。

 今年5月に大手メーカーを退職し、今は大手通信会社で業務自動化の仕事に携わっている。これまで勤めていた大企業の定年前の給料よりは下がるが再雇用後の年収よりは高く、早期退職したことで退職金の上積みがある。また派遣社員は定年がないため生涯年収で考えた時に、転職したほうが高くなる見通しも立った。

 男性は地方のオンライン副業をきっかけにエンジニアを文字通り“生涯の仕事”にした。セカンドキャリアを真剣に考えたい人にとって、オンライン副業は自分が本当にやりたい仕事や今後を見つめ直す、良いきっかけになりそうだ。

著者紹介:猪尾愛隆

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 JOINS株式会社 代表取締役。1977年、東京都生まれ。2002年慶應義塾大学大学院修士課程修了。博報堂に入社し、法人営業を3年間経験。2005年、ミュージックセキュリティーズ入社。投資型クラウドファンディングのプラットフォーム事業を立ち上げた。2017年6月に退職し、大都市の副業人材と地域中小企業をつなぐ人材シェアリングサービスを提供する「JOINS」を創業。


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