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焼肉への業態転換を図るワタミ　清水邦晃社長が語るアフターコロナでの勝算：居酒屋市場は7割まで縮小か（2/3 ページ）

» 2020年11月04日 18時35分公開

ロイヤルHD、吉野家は宅配に参入

　他の飲食店を見ても、ファミリーレストランなどを経営するロイヤルホールディングスは都内に、「ロイヤルホスト」や「天丼てんや」などの5業態の料理を宅配と持ち帰りができる専門店を作り、牛丼の吉野家も宅配事業に参入する。

　ワタミグループも「から揚げの天才」を展開している一方、「かつや」を運営するアークランドホールディングスはからあげ専門店「からやま」を、モンテローザは「からあげの鉄人」を、すかいらーくグループは「から好し」を運営していて、半ば外食チェーンは「からあげ戦争」の様相を呈している。

　各社が業態変更や新しい売上チャネルの拡大を模索していた中、コロナはその動きを加速させた。ワタミグループも何らかの変革が避けられなかったと言えそうだ。

コロナ禍で牛肉を使った新メニューを打ち出すワタミ

「Go To Eat」が追い風に

　ワタミの清水社長は記者発表の中で「業態変更を進めるとしてもワタミグループの業態の多くは居酒屋だ。今期、来期の業績はワタミグループに大きな影響を与える。縮小するとはいえ居酒屋マーケットは、形は変わってもなくなることはないと考えている。（創業者の）渡邉美樹も『祖業である居酒屋をなくすことはない』と断言している。そのため当社はさまざまなチャンレンジをしていく」とした。

　今後の戦略については「家賃交渉や生産性の改善などによって売上が前年比70%でも黒字化できる態勢を整える。今までは居酒屋のメニューをいろんな形で展開してきたが、これからは専門業態での仕入れ力と開発力を生かして既存の居酒屋メニューにも反映していく。よりクオリティーの高い商品をお客さまに提供できる」と具体的な方策を述べた。

　その上で今回のメニュー変更の狙いについて「これからの主力業態である焼肉業態では、牛肉の仕入れ力を生かしたメニュー作りをたくさんしていく。その一部をミライザカ、鳥メロ用にアレンジした形で取り入れたのが今回のメニュー変更だ。質の高い商品をより安く、より多くのお客さまに提供する。そうは言っても『焼肉は高い』と感じるお客さまが気軽に『（リーズナブルな）居酒屋なら行けるだろう』というニーズをくんで、お店に来てもらえるようにする」との考え方を説明した。

　発表会では共通メニューとして「牛シマチョウのピリ辛鉄板焼き」（以下税別399円）、ミライザカでは「厚切り牛タン焼き」（699円）、「ユッケ風黒毛和牛肩ロース炙り」（999円）、鳥メロでは「牛カルビ大串～特性ダレ～」（199円）、「2種の牛手巻き寿司」（499円）など18種類の料理を発表した。

「ユッケ風黒毛和牛肩ロース炙り」（右、999円）など新メニューで巻き返しを図る

　同社が参加している「Go To Eatキャンペーン」については追い風になっていることを強調。「10月1日～7日は前週（9月24日～30日）と比較するとネット予約件数は354.8%、ネット予約人数は285.6%だった」と好調な滑り出しを明らかにした。専門業態については、上村牧場が売上計画比で180%、焼肉の和民が150%、から揚げの天才は店舗数が50を超えるなどコロナ禍でも好調だとアピールしている。

　10月19日から12月31日はGo To Eat予約限定で飲み放題を90分1000円に設定。Go To Eatのポイントをためて使うことによって「実質飲み放題無料」との方針も打ち出していて、売り上げを前年の70%まで戻すよう仕掛けていく考えだ。

　焼肉業態では売上のアルコール比率は20%である一方、居酒屋だと50%を占めると言う。清水社長は「飲んで、食べてお話したい人のニーズに応えるのがミライザカと鳥メロ、食事のニーズに応えるのは焼肉の和民だと考えている。年末の宴会シーズンは、コロナによって大人数で集まるのを禁止されていることもあり、個別の人数での集まりでも宴会ができる仕掛けを作っていく。2500円前後で楽しめるキャンペーンも実施していきたい」とした。