ソフトバンクG、上期純利益1兆8832億 AIへの投資強調

» 2020年11月09日 18時37分 公開
[ITmedia]

 ソフトバンクグループ(G)が11月9日に発表した2020年4-9月期決算は、当期純利益が1兆8832億円となり、前年同期の4216億円から4.5倍に増加した。ビジョン・ファンドの投資事業が改善。前半期では215億円のマイナスとなっていた投資損益は、1兆3901億円へと回復した。同社は前四半期決算から営業利益の公表を取りやめ、株式売却益や配当金などを含む投資損益の開示に変更している。

ビジョン・ファンドの投資損益推移(ソフトバンクG決算資料)

 ビジョン・ファンド1号は、83銘柄を保有。投資額合計7兆8000億円(750億ドル)に対し、公正価値は7兆9500億円(764億ドル)となっている。またビジョン・ファンド2号は13銘柄を保有し、投資額合計2700億円(26億ドル)に対し、公正価値は1兆400億円(76億ドル)となっている。

 ソフトバンクG全体では、保有株式価値から純負債を引いた時価純資産額(NAV)をあらためて最重要指標だとした。現時点での保有株式価値は31兆円。純負債4兆円を引いた27兆円がNAVとなっている。このNAVは、20年3月末の21兆7000億円から、6カ月間で5兆6000億円増加した。

NAVの推移。上場株にはヤフー、アリババ、Tモバイル(スプリント)、ソフトバンク(SBKK)、アームなどが含まれる(ソフトバンクG決算資料)

 現時点でNAVの多くを占めるのはインターネット関連企業への投資だが、拡大の方向性としてAIを挙げ、「AIを制するものが未来を制す」「AI革命への投資会社」だと、改めて強調した。

 運営上のリスクや懸念として、しばしば挙がる「負債の多さ」「不透明な非上場株投資」「デリバティブを使うことのリスク」については、それぞれ数字を挙げて説明した。負債については、保有株式の時価総額に対する負債の比率(LTV)を25%未満に抑える。現時点では12%となっている。非上場株式については、現在の比率は8%。10%前後を目標にしていくという。デリバティブについては、現在の比率は1.2%だとし、原則10%未満で運用する。

 未上場株への投資を中心とするビジョン・ファンド1に対し、ソフトバンクGは上場株投資を増やしている。現時点でアマゾンやマイクロソフト、フェイスブック、ズーム、TSMCなどの各社に合計2.1兆円を投資している。

ビジョン・ファンドの投資先96社(ソフトバンクG決算資料)
SBGが保有している上場株式(ソフトバンクG決算資料)

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