マスクやアルコール消毒液などに転売禁止の措置が取られた一方、「生活必需品」とはいえないゲーム機は、コロナ禍においても取引制限がされることはなかった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外に出歩かなくなる人が増えると、家でゲームをする需要も急増する。この傾向は緊急事態宣言が発令された国内だけでなく、これ以上に厳しい外出禁止令などのロックダウンを実施した欧米をはじめ、世界的にみられた。
この需要は「巣ごもり需要」とも呼ばれている。この間、PS4と並ぶ任天堂の「ニンテンドースイッチ」の取引にも転売が横行し、現在に至るまで両機種とも定価で入手しづらい状況が続く。
この状況下で、7年ぶりの新ハードPS5がいよいよ登場する。9月18日から予約販売が始まったものの、ネット通販サイトには定価の10倍以上の値段をつけたPS5が一時ではあるものの登場した。各販売店は予約を有料会員や一部の会員に限定したり、時間で区切る形での抽選予約を受け付けたりと対策をしているものの、こうした中で予約を勝ち取った人物が出品したとみられる。販売店側がいかに対策を講じようとも、いたちごっこが続いているのだ。
転売屋の存在を除いたとしても、「巣ごもり需要」による需要増は深刻だ。ソニーの常務で、PS5の製造・販売をする「ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)」の社長を務めるジム・ライアン氏は10月28日、「米国でのPS5の予約販売台数は、発売から12時間以内にPS4の予約販売台数と同数に達した」と明かした。
こうした状況に対し、SIEはただ手をこまねいているわけではないようだ。事情に詳しいジャーナリストの河村鳴紘氏はこう解説する。
「SIEはPS4の上位機種である『プレイステーション4 Pro』の日本向けの出荷が9月に終了していたことを発表しました。理由は、11月12日に発売されるPS5の生産へシフトするためです」
また河村氏は、コロナ禍でもPS5の生産体制は整いつつあり、転売屋に対し物量で勝負する狙いがあると話す。
「具体的な数字は明らかにしていませんが、PS5の出荷計画数は、新型コロナウイルスの影響があったにもかかわらず、PS4のローンチ時よりも上であることを明かしています。SIE社長のジム・ライアン氏は『発売日の段階でPS5を手にしようとすれば、かなりの努力が必要』とは言っていますが、同時に増産体制についても肯定しています。
この増産体制に対して『転売屋』の資金が無限にあるわけではありませんから、全てのPS5を買い占めることはできないと考えます。さらに今回の販売方法は個人確認も徹底しています」
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