PS5が発売 横行する転売屋に対するソニーの戦略とは?続く“いたちごっこ”(1/3 ページ)

» 2020年11月11日 18時14分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 日本が世界に誇るゲーム産業でも、特に家庭用ゲーム業界では任天堂とソニーが2大企業として君臨している。そのソニーの「プレイステーション」陣営の、新型ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」が11月12日に発売する。実に7年ぶりの発売だ。

phot 11月12日に発売するソニー・プレイステーション5。横行する転売屋に対するソニーの戦略とは?(写真提供:ロイター)

 PS5の価格は、4K画質対応の最新ブルーレイディスク規格「Ultra HD Blu-ray」も再生できるディスクドライブを備えた通常モデルが4万9980円(以下、税別)、ディスクドライブのない廉価版の「デジタル・エディション」が3万9980円。3万9980円という価格は、先代の「PS4」発売当初の3万9800円という値段とほぼ同価格であり、ディスクドライブを省いたとはいえ、同程度の価格を維持したことも注目された。

phot Ultra HD Blu-rayディスクドライブ搭載モデルが4万9980円、それを搭載しないデジタル・エディションが3万9980円(以下プレスリリースより)

 注目された理由の一つに、PS4のさらに先代にあたる、2006年発売の「PS3」が当初の販売価格を1万円高い4万9800円に設定したことで、PS3の売り上げが振るわなかった経緯がある。3万9800円という価格は、1994年発売の初代「PS」からの伝統であり、初代発売から26年たった今でも、この価格が守られたことに安堵するゲームファンの声も少なくない。

phot PlayStation 3の本体とコントローラ(右: CECH-2000シリーズ、Wikipediaより)

 一方で、懸念されているのが定価やそれ以下の価格で手に入れた商品を、定価以上の高値で転売する「転売屋」の存在だ。「転売屋」の存在は90年代の初代PSの時代からあり、特に96年のヒット商品「たまごっち」では定価以上で売る店の存在が社会問題となった。だが、当時はまだまだ実際の店舗で販売する方法が多く、現在に比べれば数も限られていた。そのため、少し待てば流通在庫も回復し、定価以下で買うことも難しくなかったのだ。

phot 海外版のたまごっち(ロゴが英字になっている、Wikipediaより)

 ところがインターネットでの通販が広まり、また個人でもメルカリやラクマなどのフリマサイトや、個人事業主としても楽天やAmazonといったEC系サイトへの出店が容易になり、「転売屋」が社会問題化してきた。

 こうした転売行為に対し、法規制をする動きもある。例えばライブやコンサートなどのチケットの定価以上の転売は、かねて「ダフ屋行為」として問題視されてきた。「ダフ屋行為」を条例で取り締まる都道府県も少なくなかった。19年6月には、こうした行為を法律で禁止する「チケット不正転売禁止法」が、2020年東京オリンピック・パラリンピックを前に施行されている。

 また2月以降、新型コロナウイルスの感染が国内で拡大し、マスクやアルコール消毒製品の転売が横行。これに対し政府は「国民生活安定緊急措置法」に基づき、マスクやアルコール消毒製品の転売禁止措置をとったのは記憶に新しい。

phot 政府はマスクやアルコール消毒製品の転売禁止措置をとった(写真提供:ゲッティイメージズ)
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