投資をしている人が4割突破 反面、老後2000万円問題の功罪も(2/3 ページ)
行動と歩調を併せて、投資に対するイメージもポジティブなものに変わってきている。ポジティブなイメージは10年には22.8%しかなかったが、20年には34.8%へと12ポイントも増加した。一方で、「怖い」「損失」「ギャンブル」といったネガティブなイメージを持つ人は、30.6%で横ばい。この10年で大きく減ったのは、「リスク」と感じる人で、50.8%から34.6%へと減少した。
ポジティブなイメージを特に強く持っているのは、やはり若年層だ。25〜29歳においてはポジティブイメージが40%を超えている。バブル崩壊、リーマンショックなど「マーケットの大幅下落を知らない人たちが中核になってきている。こうした若い人たちが、これから10年後、40代になって大きくマーケットを変えていくのではないか」(野尻氏)
投資という言葉に対するイメージ。ポジティブなイメージを持つ人が増加し、3分の1に達した(フィデリティ)
こうしたイメージを作り出すお金の情報の入手先にも大きな変化が見られた。SNSを挙げる人が9.2%と急上昇し、いまやテレビの情報番組の12.6%に迫っている。特に20代においては、22.7%となっており、ほかのどの情報入手先よりもダブルスコアで高い状況だ。
お金の情報をどこから入手するかで、急上昇しているのはSNS。特に若年層ではメインの情報入手手段となっており、伸びを牽引している(フィデリティ)
SNSの重要度が増している点は、資産形成で誰の影響を受けるか聞いた質問からも分かる。資産形成のインフルエンサーは多岐にわたるが、「ブロガーまたはユーチューバー」という回答が6.8%に達しており、友人や同僚と並ぶポジションに来ている。特に、20〜30代の男性においては10%を超えており、インターネットの影響が大きくなってきている。
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