コピックというブランドの本質を「ライフスタイル」に置いている以上、審査員はただ有名な人を選ぶだけではない。毎回担当する審査員は、コピックになじみのある人物をなるべく選んでいるという。
「小学生の頃からコピックを愛用している」というイラストレーターのせきやゆりえさんは、コピックの魅力についてこう語る。
「コピックは色数も多く発色が良い。ペンだけで完結している画材は他にありません。描きたいと思ったときにすぐ取り出して描けるのが強みだと思います。絵の具だとこうはいきません」
そんなせきやさんでも、今回審査員を務めたことで大きな発見があったという。
「長年コピックを使い続けていますが、応募してきた作品を見てこんな使い方があったのかと驚かされました。今回審査員をやらせていただきましたが、自分はまだまだコピックを極められてないと痛感させられました。帰ったら早速自分でも試してみたいと思います」
ファッションデザイナーの世界でも、コピックは使われているという。津森千里さんがこう話す。
「実は『コピック』だと意識して使っていなかったのですが、20年以上前から使っていました。ファッションの世界では頭に描いた構想を絵に起こす『デザイン画』というところで使います。ぼかしができたり、重ね塗りできたりするのがいいですね」
そして、コピックを駆使して数々のヒット作品を生み出してきているのが、漫画家の小畑健さんだ。
小畑さんはコピックを愛用する理由についてこう打ち明ける。
「コピックに出会うまで、カラーインクなどを使っていたのですが、週刊連載を抱えていると、インクが乾くまでどうしても時間がかかってしまうという問題がありました。ところがコピックを使ってみると、乾くのが早くて、塗りやすくてすぐ形になり、すぐに切り替えました。とにかく早く仕上がり、直感的に描けるのが魅力ですね」
小畑さんは特に、黒系のコピックを活用することでファンの間でも知られる。
「モノトーンの絵がもともと好きというのがあります。コピックだとグレーだけでもいろんな味のグレーが多くそろっており、グレーとグレーを重ね塗りできる奥深さがありますね。カラフルで色数を多く使った絵でも、グレーを1つ置いただけで絵の表情が変わります。グレーによって微妙な色合いに変わって絵が描けるので、グレーは好きですね。かなり使います」
デジタル化が進んでいる現代でも、小畑さんは手描きで絵を描いている。最後の「仕上げ」という工程だけは手描きの絵をスキャナーで取り込み、コピックで表現しきれない部分だけをデジタル処理する。そのためコピックを今でも日常的に多用している。中でもペンの先端が筆状になっている「コピックスケッチシリーズ」を愛用している。シリーズ全358色を仕事場に置いており、予備にさらにもう1セット常備し、さらに買い足しているという。
「デジタルはどうしても使いこなせなくて。手で覚えてしまっているので、手で描いたほうが早いんですよね」
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