お陰で、本来なら苦しんでいる飲食店を助けるための「呼び水」になるはずの税金が、さもしい連中の懐に流れ込んでしまい、キャンペーンの終了時期を少し早めてしまうことにもつながっている。
実際のところ、この「予約に伴いポイントが発生する」タイプのGo To Eatキャンペーンは(もともと問題含みだったが)間もなく終了するので、問題もまた終息しようが、別ネタで同様のことが繰り返される懸念は高いのではないか。
先の持続化給付金の不正受給と違って、初期の「錬金術」提唱者も、その尻馬に乗った連中も、これは犯罪ではないが、政策趣旨に大いに反し、飲食店にとっては迷惑な行為だということぐらいは自覚している(はずだ)。しかし「錬金術」などというネーミングから、むしろ自分たちは「頭がいい」と思い込んでいる可能性すらある。罪悪感はほとんどないため、SNSで「成果」を自慢する輩まで続出する始末だ。
いずれの行為も大学生など若い人が多いという(確かに、いい年してこんなことをやっているようでは間違いなく人生の敗残者だ)。彼らに欠けているのは、「おカネを稼ぐ」経済行為というのは誰かの役に立つことへの社会からの報酬であり、それが「自分が社会に受け入れられている」証の一つだから嬉しい、という明確な自覚と体感だ。
親に養ってもらう環境でずっと過ごしてきた(あとは精々バイトで小遣い稼ぎをするくらいの)ために、そうした感覚が十分に発達しなかったのだろう。
お金を稼ぐ方法は世の中にあまた存在する。しかし誰の役にも立たない方法で稼いだカネは実にむなしい。「あぶく銭」という感覚がつきまとい、無駄使いに陥りやすく、結局は「悪銭身につかず」になりがちだ。たとえ犯罪でなく、合法的に稼いだとしても、だ。
そうしたやり方で(一部とはいえ)生計を立てることに若い時に慣れ親しんでしまったら、真っ当なおカネの稼ぎ方が身につかないままに社会に放り出されて最後は露頭に迷うような未来が近づいてしまう。
いずれ彼らが自分たちの行為の浅ましさに気づき、赤面し、大いに反省して、二度とこうした「火事場泥棒」的な行為をしないと自分に誓う時が早く来ることを、彼らの人生のために祈りたい。(日沖 博道)
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