パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。日本BPM協会アドバイザー。
災害時に打ち出される被害者救済策というものは往々にして「緊急ゆえに穴だらけ」という問題点があるものだ。そうした緊急救済策の穴に乗じた「火事場泥棒」的な行為が発生することは昔からある程度はあり、政策検討者もある程度は仕方ないと割り切っているものだ。
とはいえ昨今のそうした行為には、一握りの「もともと悪質な輩」の振る舞いとばかり言えないほどの拡がりが見られるという特徴がある。スマホとSNSの普及のせいで具体的なやり方が簡単に拡散し、昔だったらそうした浅ましい振る舞いには関与しなかったであろう、ごく普通の人が軽い気持ちで手を染めてしまうのだ。
コロナ感染の社会不安が広がるにつれ、そんな振る舞いが世間の注目を集め始めた第一弾は、「転売ヤ―」によるマスクや消毒液の買い占めと高値での転売行為だった。これまた世の中に急速に普及した個人間売買サイトやオークションサイトを通じて、随分大々的に行われた記憶がある。
しかしこの初期の「火事場泥棒」的な行為はかなりの批判を浴び、そうした振る舞いをする連中を監視するような動きすら発生した。そして小売店が買い占め防止策に努めると共にメーカーの増産努力や流通業者の頑張りもあり、急速に衰退した。要は、消費者である大多数の市民が直接的な不利益を被るという、直接的に「市民を敵に回す」行為だったため、大いに叩かれたのである。
しかしコロナ禍が続く中、次に登場したのは、もっと小ずるいやり方だ。市民を直接的に敵に回すことを避け、政府の補助金を狙う方向に転換したのだ。具体的には持続化給付金の不正受給であり、Go To Eatにおける「錬金術」だ。
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