コラム
» 2020年11月22日 09時00分 公開

第3次タピオカブームを振り返る (2/2)

[ニッセイ基礎研究所]
ニッセイ基礎研究所
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 東京商工リサーチによると、2020年8月末のタピオカ専業及び関連事業を営む企業は、125社を数えた。企業数は、2019年8月から65社増えている。特に、2019年9月から2020年3月の期間では52社が増加し、このうち半数近い24社は新規法人だったという。新規参入する事業者の本業は「パンケーキカフェ」「肉バル」「助成金コンサルティング」や「売電事業」など、飲食業から電力事業までさまざまで、本業とは別にタピオカブームにあやかる副業的な店舗展開が特徴になっている。だが、コロナ禍の4月以降は13社の増加にとどまり、新設法人はわずか2社に激減した。

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 また、貿易統計によると、2019年1-7月のタピオカとタピオカ代用物の輸入は約6300トンで、2018年(1-12月)の約3000トンを大幅に上回っていたという。しかし、2020年1-7月の輸入量は約3900トンと大幅に減少している。新型コロナによる外出自粛、店舗休業などで萎縮する他の飲食店と同様、タピオカ関連企業も影響が大きく受けていることが分かるが、新型コロナだけが原因といえるのだろうか。

3――タピオカの今

 例えば、新型コロナによる問題発生以降、原宿駅近辺に一時は20店舗あったタピオカドリンクの店も半数の10店が閉店し、その足取りも戻っていないという。

 タピオカの市場は拡大することで、その流行の規模を大きくしていたが、タピオカの需要は行列ができたり、売切れたりすることで生まれる「希少性の価値」を生み出していた。しかし、いつでも手に入る、並ばなくても手に入るという状況が続くことは、タピオカの情緒的価値自体を陳腐化させ、目新しいものに食いつく若者は、少しずつ飽和したタピオカブームから離れていく。

 さらには、スーパーマーケットやファストフード店にも簡易的なタピオカドリンクが並び、誰もが気軽に並ばずとも購入できるようになり、タピオカが「映えなくなった」のである。従来、流行は知らぬ間に終わっているモノであったが、Instagramのように#(ハッシュタグ)で流行がシェアされる文化が定着した今、ハッシュタグの利用度合いで、はやり廃りが視覚化されるようになった。日々のタイムラインでタピオカを見る回数が減ることでタピオカの流行に陰りが見え始めると、若者は新しい流行を求める。

 コロナ禍で外出自粛期間中にはInstagramで「#おうちカフェ」というハッシュタグとともに韓国で流行しているダルゴナコーヒーやいちごあめ、トゥンカロンが投稿され、韓国フードブームが到来した。もともと韓流アイドル人気が長く続いており、コスメやファッションのトレンドが韓国にあるということもあってか、特に若者の女性と韓国のトレンドは親和性が高い。このような背景もあり、コロナ以降の人出を昨年の同時期と比較すると、原宿の40%減に対し新大久保は15%減と新型コロナの影響は小幅にとどまっているというデータもある。

 一方で前述した「春水堂」や「Gong cha(ゴンチャ)」などは、過去のブームとは異なり、タピオカブランドが市場に定着し始めた。ゴンチャジャパンは2020年7月21日の成長戦略発表会で、数年以内に国内400店体制を目指すと発表した。そのなかで店舗数の拡大については、韓国ではスターバックスが1000店、ゴンチャが660店ある一方で、日本ではスタバは1500店、ゴンチャがわずか55店舗であると韓国市場を引き合いに出して、コロナ禍の厳しい環境においても、着実に店舗数を伸ばすポテンシャルがあると説明している。筆者は、パンケーキ専門店が群雄割拠の時代から淘汰の時代になっていったように、タピオカも今まさに流行から定着のフェーズへと変化していると考えている。

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