制作費を半分以下に? 100万回以上再生された「ジョブカン」CMの裏側哀川翔さん、手越祐也さん起用(1/4 ページ)

» 2020年11月28日 08時00分 公開
[岡のぞみITmedia]

 「ジョブカントラックやっと会えたよー!」「駅でジョブカン発見!」

 SNS上でなにやら盛り上がりを見せる「ジョブカン」とは、株式会社Donuts(東京都渋谷区)が運営する、企業のバックオフィス業務を効率化するクラウドサービス。今年の10月より放映しているCMは、俳優の哀川翔さんと元NEWSの手越祐也さんを起用したことで話題になった。

 実はこのCM、カメラ、美術、技術以外は全て社内で賄ったという。制作期間は3分の1にして、制作費は50%以上も削減。にもかかわらず、哀川さん、手越さんのコラボ動画も含めた総再生回数は100万回を超える、ハイコスパCM。マーケティング室長の千田拓さん、監督を務めた井上尚也さん、プロデューサーを務めた青木良憲さんにCM制作の裏話を聞いた。

テレビ局出身のスタッフだからこそ実現できたコストカット

――そもそもなぜCMを自社制作に?

千田: もともと動画やライブ配信に加えて、「自分たちで番組も作ろう」といった話があったんです。過去にもアイドルのPVやミュージックビデオを撮る機会があって、その際は外注していたのですが、内製化したほうがコスパがよく、相談もしやすいだろうなと考えていました。今年、業界経験者(井上さん、青木さん)がジョインしてくれたので、自社での制作を決めました。

井上: 僕は2年くらい前まで、テレビ局で働いていて、バラエティ、音楽番組、生放送、ドキュメンタリーなど幅広いジャンルの番組を作っていました。テレビ局を辞めてからはCMもいくつか制作してきました。CM業界って役割が細分化されていますが、僕の場合は、企画、脚本、監督、編集まで担当していました。テレビの世界だと、それが普通なんですよね。

笑い声が絶えなかった撮影現場

青木: 以前、私もテレビ局で働いていまして、今回プロデューサーを務めさせていただきました。ドラマの場合、100人規模で作るケースが多いのですが、僕がやっていた再現ドラマは、4人くらいで作っていました。で、視聴率がいいこともあったので、「ドラマ制作って、たくさんの人が必要なのかな?」と思うことがありました(笑)

井上: 通常、CMは多額の予算を使って制作されています。われわれテレビ出身の人間からすると、「もっと低予算でも可能なのでは?」と思っていたんですよね。今回のCMはこれまでのものと比べて、半分以下の予算で制作できました。最初は10分の1くらいの予算で作れるかもしれないと思っていましたが、やはり美術スタッフや撮影班など外部の人のチカラは必要でして、ちょっとずつ単価は上がってしまいました。それでも、3パターン5シリーズ作ることで、一本当たりの単価は本当に破格です。

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