そもそも「若者の負担を減らそう!」「若者は未来だ!」という美しい言葉とは裏腹に、若い世代を取り巻く環境は年々厳しさを増していました。
若い世代ほど、同じ年齢であっても非正規雇用者が増えていますし、年収300万円未満層(推計)は、男性では20代で263万人(雇用者の54.6%、正規雇用者の45.2%、非正規雇用者の79.5%)、30代男性で135万人(同様に20.4%、14.5%、62.4%)、40代男性で88万人(同様に12.1%、7.5%、59.4%)。
つまり、非正規だけではなく正社員でも、20代は半数弱、30代では15%近くが300万円未満しか収入がないのです。
日本ではこの20年間、賃金が全体としてほとんど伸びていません。
世界的にみるとこういった傾向は日本だけ。OECD(経済協力開発機構)が2000年を100とした場合の賃金上昇率を分析したところ、主要7カ国(G7)で日本だけがマイナスで、伸びるどころか00年の賃金水準を下回っているという結果も示されたのです。
問題はそれだけではありません。00年以降は、最低賃金レベルで働く人の割合が急増していて、09年の9.2%から、14年は13.4%まで増加。ここでも割を食っているのは若年層で、15〜19歳、20歳代では「男性」の増加率が大きいのです(最低賃金レベル=地域別最低賃金×1.15未満、参考資料)。
しかも、男性では年収と既婚率の関係が強く、年収300万円未満が「家族形成の壁」と呼ばれています。配偶者がいれば妻の収入と合算できますが、単身者では無理。もっとも、コロナ禍の経済的影響は前回書いた通り、女性に重くのしかかっていますが、男性の若年者も例外ではないのです。
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