伊藤羊一が学部長に就任 武蔵野大学「アントレプレナーシップ学部」とは何を教える場所なのか日本初の「起業家精神」学ぶ学部【前編】(2/3 ページ)

» 2020年12月25日 11時41分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

アントレプレナーシップ学部は実践の場

――カリキュラムの柱の3本目、実践についても教えていただけますか。

伊藤: 実践は、実際にいろいろやってみることです。店を出す、イベントを開催する、ネットショップを開くといったことですね。別に商売ではなくても、NPOを設立してもいいです。NPOを運営するには、サステナブルな商売をしなければいけないことが学べます。課題の解決のために研究をするということもあるでしょう。

 実践で「こと」をつくっていくことのサポートは、多くの教員で取り組んでいきますが、その一人が(井上)浄さんですね。浄さんは研究という手段を使って、アントレプレナーシップを発揮しています。研究者でもあり、アントレプレナーでもある方です。

井上: 大学生や起業を目指している人が、ワクワクして物事を始められる場所がすごく少ないと日ごろから感じていました。自分がいくつかの大学で担当している講義でそういう場をつくろうと思って現在もやっていますが、アントレプレナーシップ学部ができて、豪華な講師陣がそろうと聞いて、これは絶対に大きな取り組みになると思いましたね。

 僕がやってきたのは、社会の課題を発見して、研究を進めて、その課題の解決策を形にすることです。言葉にすると簡単ですがとても難しくて、ハイテクとローテクを組み合わせると同時に、形にするための「重力」が必要になります。この「重力」をつくる人がアントレプレナーではないかと思っています。

 課題を見つけて、自分ごとにして、仲間を集めて、「重力」をつくって解決する。東南アジアなどでは課題があふれていて、絶対に何とか解決したいという熱量にあふれている人がたくさんいます。彼らはまだテクノロジーとつながっていなくても、いつか必ずテクノロジーを見つけて解決するでしょう。こういう人たちが日本には圧倒的に足りないと感じます。

――どのようなところを入り口にして、学生に実践を促して行きたいと考えていますか。

井上: 好きなものから始める好奇心ドリブンと、これは絶対に解決したいという課題ドリブンのどちらでスタートしてもいいと思います。どちらでもいいので熱を持っている学生に、僕が持っている知識やマインドセットを伝えながら、実践と失敗を繰り返していきたいですね。この経験を積み上げていくと、4年後には実行力を持った人物になっているのではないでしょうか。

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