ホリエモンが人工衛星事業の新会社設立 インターステラが目指す“ロケット×人工衛星”の統合型サービスとは?ホリエモンが仕掛ける「宇宙ビジネス」(1/3 ページ)

» 2020年12月25日 19時12分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

 「ロケットと人工衛星の垂直統合型のサービスを展開しようと考えていまして、これから新会社を設立します」

 北海道大樹町でロケットを開発するインターステラテクノロジズ(IST)のファウンダーである堀江貴文氏は12月21日、ISTの100%子会社として、人工衛星事業を手掛ける新会社「Our stars」を2021年初頭に設立することを明らかにした。代表取締役社長には堀江氏が就任する。

phot 新社屋の前で集合するインターステラテクノロジズの社員たち(以下クレジットのないものは同社のリリースより)

 「Our stars」は、通信衛星事業と地球観測衛星事業、それに宇宙実験用衛星と回収カプセルを組み合わせた事業の3つを柱にしている。ISTが開発中の超小型衛星打ち上げロケット「ZERO」とあわせて、日本で初めてロケットと人工衛星を統合したサービスの提供を目指す。

 新会社設立は、ISTの本社と新工場の完成にあわせて、ISTの堀江氏と稲川貴大社長が明らかにした。民間による宇宙ビジネスが世界で拡大しつつあるなか、新会社設立のねらいを語った。

phot インターステラテクノロジズのファウンダー堀江貴文氏(左)と稲川貴大社長

3つの人工衛星サービスを提供

 ISTは北海道大樹町の本社で新会社の設立を発表した。社名の「Our stars」は社内の公募で選ばれたという。社名について堀江氏は「グローバルに展開しようと思っていますので、英語で意味が通じるのか、語感が良いのか、クールな社名なのかを検討して投票してもらいました。最終的に決定したのは私です」と説明した。

 「Our stars」は3つの人工衛星サービスを提供する。1つは、超超小型衛星を多数協調させる衛星コンステレーションによる次世代の通信サービス。ピンポン玉サイズの超超小型衛星を数千個フォーメーションフライト(編隊飛行)させることで、各衛星が協力して大きなアンテナの機能を果たし、その結果、大型衛星以上の通信性能を実現するというもの。まだ実用化も実証実験も実施されていない技術で、堀江氏は「世界初で、非常にチャレンジングな衛星通信サービス」だと意欲を語った。

phot (1)超超小型衛星フォーメーションフライトによる衛星通信サービス

 2つ目は、超低高度リモートセンシング衛星による地球観測サービス。電気推進を持つ超小型衛星が、高度150〜200キロの超低高度を周回して地球を観測する。超低高度を周回することで、解像度の高い写真が低コストで撮影できる。超低高度での衛星の飛行は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した人工衛星SLATSで実証されており、その技術の実用化を目指す。

phot (2)超低高度リモートセンシング衛星による地球観測サービス

 3つ目は、宇宙実験衛星と、実験が終わったあとのサンプルを回収するカプセルをセットにしたサービス。現在は国際宇宙ステーション(ISS)で、多様な分野の宇宙空間における実験が実施されている。ただ、ISSは24年に今後の運用が見直される方針で、宇宙実験衛星でポストISSの役割を果たすとともに、実験サンプルを乗せたカプセルを地球上で回収するサービスをあわせて提供する考えだ。

phot (3)宇宙実験衛星と、実験が終わったあとのサンプルを回収するカプセルをセットにしたサービス

 3つの事業の実現時期について、堀江氏は「宇宙実験衛星と回収カプセルの事業が最初に事業化できる」と説明した。超超小型衛星フォーメーションフライトによる通信サービスと、超低高度リモートセンシング衛星による地球観測サービスは数年後の事業化を目指すという。

phot ロケット開発企業が⼈⼯衛星サービスを⾏うメリット
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