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» 2021年01月14日 07時00分 公開

世界を読み解くニュース・サロン:民間企業が主導した、トランプ大統領「ネット追放劇」に見る“権限”とリスク (3/5)

[山田敏弘,ITmedia]

企業が大統領の“口封じ”をする権利がある?

 ただメディアなどを中心に、この動きは大きな論争を生んでいる。まずトランプ側から出たのは、SNS運営企業が一国の大統領の口封じをする権利があるのかという指摘だ。

 トランプがそもそもTwitterで大統領として発言を続けてきたのは、メディアのフィルターを避け、言いたいことをそのまま国民に伝えるためだった。記者会見などメディアの取材が入り、それが記事化されることで、自分の言いたいことが伝わらないと感じていたからだ。

 そのトランプの言い分は分からなくはない。メディアが発言を切り取ることもできるし、それは大統領でもコントロールできない。ただ反対に、トランプのようなエキセントリックな人物の場合は、平気でうそや一方的な意見などを垂れ流すことで、国内の怒りや分断を煽ることにもなった。しかもそれが意図的に行ってきたふしがあることも指摘されている。

 さらに、結局はSNSの判断は、Twitterのジャック・ドーシーCEOと、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOの2人の判断が大きいことから、これはSNSの問題というより、ドーシーとザッカーバーグが大統領よりも大きな権限を行使することに対する批判にもなっている。選挙で選ばれたわけでもない民間企業の経営者が政治にどこまで関与するのか――。そんな議論にもなった。

民間企業の経営者が権限を行使することに批判的な議論も(写真提供:ゲッティイメージズ)

 保守系のFOXニュースなどでは、「米国と敵対するイランのホメネイ師はTwitterを今も使っているのに、自国の大統領が禁止とはどういうことか」などと批判の声を上げている。確かに、中国政府も在外の中国大使館のTwitterアカウントを使ってプロパガンダを垂れ流しているが、おとがめはない。

 これについてはすでに触れた通り、Twitterなどは個人よりも政府や政治家などのアカウントを大目に見る傾向がある。それでもトランプのように暴力を煽るような発言を繰り返し、死者まで出すことは誰であっても許容できないということらしい。

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