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» 2021年01月19日 07時45分 公開

インターステラテクノロジズが「ホリエモンのロケット採用」に踏み切った理由インターステラの採用戦略(後編)(1/3 ページ)

北海道大樹町で観測ロケットと超小型衛星打ち上げロケットを独自開発しているインターステラテクノロジズ。同社が今後事業を拡大していくためには、人材を呼び込むことも大きな課題だ。後編ではISTの今後の計画と、採用戦略について明らかにする。

[田中圭太郎,ITmedia]

 北海道大樹町で観測ロケットと超小型衛星打ち上げロケットを独自開発しているインターステラテクノロジズ(以下、IST)は、「ホリエモンのロケット採用」と名付けた新たな採用戦略をスタートさせた

 ISTでは選考のエントリーを始めた2020年10月、 ISTのファウンダーの堀江氏と稲川貴大社長による会社紹介セミナーをオンラインで開催。このセミナーの模様を、前編記事ホリエモンが「次の基幹産業は宇宙ビジネスだ」と断言する理由に続いてお伝えする。

phot 新社屋の前で集合するインターステラテクノロジズの社員たち(以下、画像はインターステラテクノロジズ提供)

 ISTが今後事業を拡大していくためには、人材を呼び込むことも大きな課題だ。33歳の稲川社長は、東京工業大学大学院から大手カメラメーカーへの就職が決まっていたが、ISTとの出会いによってロケット開発に携わりたいと強く思い、入社当日にカメラメーカーを退社して宇宙ビジネスに飛び込んだ異色の経歴の持ち主でもある。

 後編ではISTの今後の計画と、採用戦略について明らかにする。司会はIST広報の中神美佳氏。

phot 堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダー。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。2019年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機(MOMO3号機)」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。2015年より予防医療普及のための取り組みを開始し、2016年3月には「予防医療普及協会」の発起人となり、協会理事として活動。予防医療オンラインサロン「YOBO-LABO」にも携わる。著書に『健康の結論』(KADOKAWA)『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)『ゼロからはじめる力 空想を現実化する僕らの方法』(SBクリエイティブ)『スマホ人生戦略』(学研プラス)『捨て本』(徳間書店 )など多数(以下、写真はインターステラテクノロジズ提供)
phot 稲川貴大(いながわ・たかひろ)インターステラテクノロジズ代表取締役社長。1987年埼玉県生まれ。東京工業大学大学院機械物理工学専攻修了。学生時代には人力飛行機やハイブリッドロケットの設計・製造を行なう。修士卒業後、インターステラテクノロジズへ入社、2014年より現職。経営と同時に技術者としてロケット開発のシステム設計、軌道計算、制御系設計なども行なう。「誰もが宇宙に手が届く未来を」実現するために小型ロケットの開発を実行。日本においては民間企業開発として初めての宇宙へ到達する観測ロケットMOMOの打ち上げを行った。また、同時に超小型衛星用ロケットZEROの開発を行なっている
phot 中神美佳(なかがみ・みか)インターステラテクノロジズ営業広報部マネージャー・人事。北海道大樹町出身。早稲田大学卒業後、自動車メーカーのマーケティング部門で6年働いた後、2015年地元である北海道大樹町へUターン。同町の地域おこし協力隊として3年間地域おこし活動に奮闘し、ふるさと納税、移住促進、野外フェス「宇宙の森フェス」立ち上げなどを実施。2018年春にスマイルズに入社し、各事業ブランドの広報やコーポレートブランドの広報、プロジェクトマネージメントを担当。2020年9月から現職。コーポレートブランドの広報や観測ロケット、超小型衛星打ち上げロケットの営業・広報等を行う

ものづくりと新しいことが好きな人を求む

中神: オンラインでセミナーをご覧になっている方から「ISTで活躍するには、どんな分野の勉強をすれば良いのか、どんなスキルを求めているのか教えてほしい」という質問がきています。

稲川: 機械系であれば、基本的には、大学の工学系で「4力」といわれる分野ですね。熱力学、機械力学、材料力学、流体力学。あとは構造力学や制御工学のような一般的に学ぶ内容を習熟していれば、実務はすぐにできると思います。

 知識面だけではなく手が動くことも大事で、知識を得た上で実際にものにしていく力があるといいですよね。大学の研究室や自分のプロジェクトなどで、小さいものでいいので何かものづくりを経験しておくと、ロケットでもすぐ活躍できます。

 当社に就職してくれた人は、やはり学生の時にものをつくっていた人が多いですね。学生の時に小さなロケットを手掛けた人もいます。

中神: 手が動く人と表現していますが、具体的にはどういう人が入社すると面白いなと思っていますか。

稲川: 新しいことに取り組んでいるので、アイデアを出せる人です。当社には新しい考えを取り入れる文化があります。新しいものに飛びついて提案できる人がいいですね。

民間宇宙ビジネスの可能性は無限大

中神: 技術面での質問もきています。ISTのロケットには、なぜ固体燃料ではなく液体燃料を選択したのでしょうか。

堀江: これには明確な理由があります。固体燃料での打ち上げは用途が限られるんですね。有人宇宙ロケットは打ち上げられないですし、大型化するのは技術上難しく、コストも高くなりがちです。それと火薬を使いますので、火薬メーカーさんから購入することが、価格競争力を失わせてしまう要因になります。稲川さん、補足ありますか。

稲川: ISTでは液体燃料の中でも、炭化水素系の燃料を使用しています。観測ロケットの「MOMO」はエタノール、超小型衛星打ち上げロケットの「ZERO」はメタンです。当社のこの立ち位置は大事なポイントです。

 ロケットの液体燃料の種類は、おおまかに言って水素系、炭化水素系、ハイパーゴリックの3つに分けることができます。ハイパーゴリックは軍事用の技術として使われていて安全性の観点からも日本で使うのは難しい。日本は水素の技術は極めていますが、世界の主流は炭化水素系になっています。

 炭化水素系の燃料は、日本ではJAXAや大手メーカーで実験は行われているものの、実際に打ち上げを行って実用化したのは「MOMO」を宇宙空間に飛ばした当社だけです。炭化水素系燃料のロケット技術で国内をリードしているのはISTだということは、知っていただきたいですね。

中神: この点はもっと伝えていかないといけないですね。「MOMO」と「ZERO」の先に見据えていることや、さらなる宇宙事業の可能性についての質問もあります。

堀江: 「ZERO」を打ち上げれば、その先に地球観測衛星のコンステレーションなど人工衛星の事業も自社でできるようになると思います。ロケットを大型化することで、有人宇宙飛行も実現したいですし、太陽系の外に探索機を打ち上げてみたい。宇宙は無限に広いので、やるべきことは山積みになっている感じです。

稲川: まだまだ知られていないと思いますが、会社名のインターステラテクノロジズは、太陽系を飛び出て、恒星間(Interstellar)空間に行こうという意味で付けています。高い視座というか、遠い先を見て事業を進めているところです。

 もちろん、太陽系を飛び出すにはまだまだ技術面で足りていません。観測ロケット「MOMO」で言えば、定常的に打ち上げられるように品質や信頼性を上げていくことと、安いロケットを数多くつくることを実現する必要があります。具体的な課題は見えていますので、一つひとつ解決していきたいです。

 宇宙開発は国家が進めてきた時代から、ここ10年くらいで民間のビジネス領域になってきました。この流れは今後も拡大して、宇宙が経済活動でまわっていく時代がくるでしょう。このトレンドにしっかりキャッチアップしていきたいですね。

phot 新たに立ち上げた会社「Our stars」では超超小型衛星フォーメーションフライトによる衛星通信サービスを提供する
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