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» 2021年01月18日 15時00分 公開

ホリエモンが「次の基幹産業は宇宙ビジネスだ」と断言する理由インターステラの採用戦略(前編)(1/4 ページ)

北海道大樹町で観測ロケットと超小型衛星打ち上げロケットを独自開発しているインターステラテクノロジズ。同社ファウンダーのホリエモンこと堀江貴文が宇宙ビジネスが自動車産業などに代わって日本の基幹産業になる可能性を語る。日本が持つ技術的・地理的なポテンシャルの高さがあった。

[田中圭太郎,ITmedia]

 北海道大樹町で観測ロケットと超小型衛星打ち上げロケットを独自開発しているインターステラテクノロジズ(以下、IST)は、ロケットの開発と製造のスピードを加速させるため、「ホリエモンのロケット採用」と名付けた新たな採用戦略をとり始めた

phot 新社屋の前で集合するインターステラテクノロジズの社員たち(以下、画像はインターステラテクノロジズ提供)

 「ホリエモンのロケット採用」は、ロケットに関する知識や経験は問わず、ものづくりに対する情熱やこれまでの経験、スキルなどを重視して採用するもの。同社ファウンダーの堀江貴文氏が最終面接をする。

 選考のエントリーを始めた2020年10月、ISTは会社紹介セミナーをオンラインで開催。堀江貴文氏とISTの稲川貴大社長が、「なぜ、僕らは宇宙を本気で目指すのか」というテーマで宇宙産業の未来を語った。このセミナーの様子を2回にわたってお伝えする。

 前編では、堀江氏と稲川氏が、宇宙ビジネスが自動車産業などに代わって日本の基幹産業になる可能性を語った。司会はIST広報の中神美佳氏。

phot 堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダー。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。2019年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機(MOMO3号機)」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。2015年より予防医療普及のための取り組みを開始し、2016年3月には「予防医療普及協会」の発起人となり、協会理事として活動。予防医療オンラインサロン「YOBO-LABO」にも携わる。著書に『健康の結論』(KADOKAWA)『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)『ゼロからはじめる力 空想を現実化する僕らの方法』(SBクリエイティブ)『スマホ人生戦略』(学研プラス)『捨て本』(徳間書店 )など多数
phot 稲川貴大(いながわ・たかひろ)インターステラテクノロジズ代表取締役社長。1987年埼玉県生まれ。東京工業大学大学院機械物理工学専攻修了。学生時代には人力飛行機やハイブリッドロケットの設計・製造を行なう。修士卒業後、インターステラテクノロジズへ入社、2014年より現職。経営と同時に技術者としてロケット開発のシステム設計、軌道計算、制御系設計なども行なう。「誰もが宇宙に手が届く未来を」実現するために小型ロケットの開発を実行。日本においては民間企業開発として初めての宇宙へ到達する観測ロケットMOMOの打ち上げを行った。また、同時に超小型衛星用ロケットZEROの開発を行なっている
phot 中神美佳(なかがみ・みか)インターステラテクノロジズ営業広報部マネージャー・人事。北海道大樹町出身。早稲田大学卒業後、自動車メーカーのマーケティング部門で6年働いた後、2015年地元である北海道大樹町へUターン。同町の地域おこし協力隊として3年間地域おこし活動に奮闘し、ふるさと納税、移住促進、野外フェス「宇宙の森フェス」立ち上げなどを実施。2018年春にスマイルズに入社し、各事業ブランドの広報やコーポレートブランドの広報、プロジェクトマネージメントを担当。2020年9月から現職。コーポレートブランドの広報や観測ロケット、超小型衛星打ち上げロケットの営業・広報等を行う

宇宙ビジネスは民間で進めるのが世界のトレンド

中神: まずは堀江さんと稲川さんが、宇宙ビジネスに注目している理由から話していただきたいと思います。

堀江: 宇宙ビジネスに注目する観点で考えているわけではありません。誰でもどんなものでも宇宙に打ち上げて輸送できるような時代を作り、宇宙の輸送業を確立させるミッションを掲げていて、結果としてビジネス化しなければいけないと思っているだけです。

 そのためには国家主導の宇宙開発では難しいと考えています。その理由は2つあります。1つは国家予算に左右されると、サステナブル(持続可能)ではなくなる点です。かつては米国と旧ソ連、現在のロシアが宇宙産業をリードしましたが、米国はアポロ計画とスペースシャトルの計画が終了し、旧ソ連は国家自体が消えました。科学技術に理解のある人たちだけでなく、国民にも税金を投入することを納得させる必要があります。国民の心がうつろいやすいことを考えても、サステナブルとは言い難いのです。

 国家主導では難しいもう1つの理由は、コスト面です。宇宙に行くコストは有人宇宙船がソユーズしかなかった時代は、宇宙飛行士1人あたり90億円といわれていました。それが民間企業であるスペースXが開発したクルードラゴンでは、おそらく数十億円レベルで下がっています。既存の技術を応用してロケットを作ることで、コストが安くなっている。宇宙開発は民間が推進する時代になっています。

稲川: 国家による宇宙開発が成功ばかりしているわけではないことは、あまり知られていないですよね。いまだに国家がやるべきだと感じている人も多いと思います。スペースシャトル以降のNASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙プログラムも、時の政権によって計画をガラガラポンでやり直すなど、かなりグダグダになってしまいました。

 だからこそ、宇宙開発は民間でやるべきだということが世界的なトレンドになっています。注目されているのは、PayPalやテスラを設立したイーロン・マスクのスペースXや、アマゾンを創設したジェフ・ベソスのブルーオリジンです。米国では他にも人工衛星の会社も盛り上がっていて、NASAや国の予算が民間に流れて、産業の規模も大きくなっています。

 日本も米国を参考にして、これから国が宇宙産業をサポートする風向きになってくると思います。ただ、サポートを受けて生きるようではダメなので、ビジネスとして事業を回すことで健全な宇宙開発を進めたい。そう考えて、私たちはコストを重視したロケット開発をしています。

phot PayPalやテスラ、スペースXを設立したイーロン・マスク氏(Wikipediaより)
phot ブルーオリジンのジェフ・ベゾス氏(左から3番目、Wikipediaより)
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