手数料1%以下のラップ口座登場 「プラグイン金融」で資産運用の水平分業進む(1/2 ページ)

» 2021年02月10日 06時03分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 これまで日本の金融サービスの多くは、自社でシステムを用意し、自社で商品開発を行い、自社で販売も行うという垂直統合型だった。ところが昨今、システムだけを提供するプレーヤーと開発や販売を行うプレーヤーに分かれる、水平分業体制が整いつつある。

 IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)のJapan Asset Managemet(東京都千代田区、以下JAM)は、スマートプラス(東京都千代田区)の新サービス「Digital Wealth Manager」を使い、手数料1%以下の資産運用サービス「JAM Wrap」を提供する予定だ。

Japan Asset Managemetの堀江智生社長(左)と、スマートプラスの親会社Finatextホールディングスの林良太社長(右)

 「圧倒的な最低手数料。ラップ口座の業界平均が2.3%といわれている中で、1%で提供する価格破壊をしたい」。JAMの堀江智生社長はそう話す。

 JAM Wrapは、顧客のお金を預かり、個々人の状況によって資産配分を調整。運用を行いつつ、定期的なアフターフォローを行う資産運用サービスだ。一般にラップ口座と呼ばれ、投資信託のような一律の運用とは違い、投資一任契約に基づき個別のヒアリングや運用を行うことが特徴だ。

 投資一任契約に基づく資産運用サービスは、昨今存在感を増してきているロボアドバイザーサービスも同様だ。ロボアドの多くは運用額の1%の手数料で運営している。ただし、「ロボアドとは違う。ロボアドは担当者がつかないので、アルゴリズムに従って運用されるだけ。担当がつき、サービスを提供していることがラップの価値」だと堀江氏は言う。

 専任の担当者が付くため、運営コストは高くなりがちだ。業界平均の手数料が2.3%というのは、こうした理由による。同様のサービスを提供しながら、いかにコストを抑えるか。それを可能にしたのが、スマートプラスの「Digital Wealth Manager」だった。

 「やるなら、手数料1%以下のラップサービスを作りたいと2年くらい前から思っていた。証券会社、運用会社、ロボアド会社含めて10社くらいと話して、1%だと向こうが採算が合わないと断られていた。スマートプラスと会って初めて話が進んだ」(堀江氏)

 これまでの資産運用サービスでは、顧客のアフターフォローは料金が発生しないボランティアになっていた。JAM Wrapでは、報告や相談などのアフターフォローを契約書に盛り込んでいくという。

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