東京商工リサーチは、2020年度の「後継者難」での倒産が、1月までの10カ月間で289件に達したと発表した。最多である19年度の319件を超えることがほぼ確実となった。
19年の代表者の平均年齢は62.16歳で、高齢化が進んでいる。経営不振の企業では同族継承や後継者育成が進まず、事業承継まで手が回らないのが実情のようだ。このため、代表者の「死亡」や「体調不良」などの健康問題で、倒産や廃業に至るケースが増えている。
20年4月から21年1月まで10カ月間の「後継者難」での倒産289件のうち、代表者の死亡は134件、体調不良は107件と、この2要因で241件を数え、「後継者難」倒産の8割以上を占めた。
負債額別では負債1億円未満が203件で最も多く、「後継者難」倒産に占める約7割が小・零細規模だった。産業別では、最多が建設業の63件で、次いでサービス業などが62件、卸売業が50件と続く。
新型コロナ感染拡大に伴う政府の資金繰り支援策で企業倒産は抑制され、20年4月から21年1月までの10カ月で6083件(前年同期7240件)と大幅に減少している。だが、同期間の「後継者難」倒産は289件と、前年同期比15.6%増と増加し、全倒産に占める構成比も4.7%と拡大している。
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