コロナで日経平均が3万円を超えても安易にバブルといえない理由古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/4 ページ)

» 2021年02月12日 06時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

意味合いが全く異なる“3万8957円44銭”

 結論からいえば、日経平均株価の仕組みからして、最高値である「3万8957円44銭」はいずれ更新されてしかるべきものであると筆者は考えている。なぜなら、1989年の日経平均と、2021年における日経平均は全く別の指数だからだ。

 確かに日経平均株価指数は、東京証券取引所に上場する225銘柄で構成された指数であり、このルールは従来から変わらない。しかし、指数を構成する225銘柄の顔ぶれは全く異なる。株価指数は景気を測るバロメーターでもあるため、その時々における日本の産業構造を反映したものでなくては実態と乖離(かいり)してしまう。

 現に、2000年4月にはIT化の流れを受けて一度に30銘柄が除外・新規採用され、相場が荒れた。したがって、指数としては同じでも、指数の中身が別の銘柄である以上、完全に同じ数字として見ることはできないのだ。

 逆にいえば、日本経済がマイナス成長にならない限り、日経平均も成長することが期待される。したがって、何年かかるかは明らかではないが資本主義が機能する限り、物価水準の上昇も相まって、いつかは3万8957円44銭を超えるといっても過言ではない。

 なお、バブル相場の時代には、今の日経平均株価への影響度が大きいファーストリテイリング、ファナック、東京エレクトロン、ソフトバンクグループといった値がさ株(1株当たりの価格が高い株式)の代表格がほとんど組み込まれていなかった。

 今の日経平均株価指数を構成する半分以上の銘柄が、バブル崩壊後に組み入れられた銘柄である。組み入れられている銘柄が変わってしまっている以上、バブル絶頂期の3万円と、足元の3万円を単純比較する実益はなく、あくまで投資指標から確認すべきなのだ。

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