投資額は10年で17倍! 急拡大する「フェムテック」市場を働く男性こそ知るべき理由職場の多様性担保にも必要(3/5 ページ)

» 2021年02月26日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

どんどん拡大するマーケット

 世界で初めてフェムテック専門のECサイトを20年4月に開設したfermata(フェルマータ)のCEO・杉本亜美奈さんはこう言います。

 「女性は世界人口の半分はいるわけです。現在言われているフェムテックの市場規模は、米国、ドイツ、英国といった先進国の一部の地域にフォーカスしたデータに過ぎません。『25年で市場規模5兆円』はあまりにも小さすぎる。日本だけでも生理用品市場は1000億円、不妊治療関連市場で1500億円あると言われています。フェムテックはまだまだ広がりのある市場であり、もっと女性の立場に立って解決策を考えねばならない重要な市場です」

フェムテック市場は年々拡大している

 fermataは「海外フェムテック マーケットマップ」を作成しています。19年9月に同社が取りまとめた時点ではマップに登場する企業の数は221社でした。その後、20年3月時点で29カ国318社、20年11月時点では35カ国484社にまで増加しています。わずか1年で世界で263社増加しているのですから、フェムテック市場は世界的に勢いがあると言っていいでしょう。

 代表的なフェムテック商品には、ナプキンやタンポンの代用品として使える吸水ショーツの代表的ブランドである米国の「THINX」や、骨盤底筋のトレーニングにより失禁を防ぐサービスである英国の「Elvie」などがあります。

フェムテックの代表的企業やブランド
フェムテックの代表的企業

 フェムテック市場にはさまざまな商品やサービスが続々誕生しています。また、世界中のテック企業が続々参入しています。そのため、非常に把握しにくい市場でもあります。現在、正確なデータが把握できる代表的商品を中心に、筆者がとりまとめたフェムテック国内市場規模は次のようになります。

フェムテックのカテゴリー別国内市場規模

 例えば、「妊娠・子育て」カテゴリーの20年度における市場規模は100億円ですが、21年度には130億円になると予想されます。また、「更年期・出産による身体の変化」カテゴリーの市場規模は3300億円(20年度)から3500億円に拡大すると考えられます。

 このように、一部では把握できていない商品やサービスがあるにもかかわらず、国内だけで少なくとも6700億円の市場があります。25年に5兆円というのは、確かに少なく見積もりすぎた市場規模といえるかもしれません。

 国内でもこれだけの市場があるということは、それだけ日本の女性たちが日々の生活の中で困っていたり、悩んでいたりしていることを意味しています。これまで、多くの男性が「知らない市場」であり「関わりのなかった市場」ではないかと思います。

 では、なぜフェムテック市場は注目されているのでしょうか。

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