2回目の緊急事態宣言では、営業時間を午後8時までに短縮する要請に応じた飲食店に、1店舗あたり6万円の協力金が支払われている。東京都では当初、協力金の対象から大企業を除いていたが、大手チェーンから「不公平だ」との声が上がったことで、1月22日分から大企業にも支給が決まった。
しかし、特に飲酒を伴う業態の場合、家賃の高い繁華街に立地している店舗が多い。大手チェーンでは店舗の面積が広いために、家賃が高額になっている場合も少なくないのだ。1店舗あたり6万円の協力金は、小規模で家賃が高くない立地の店舗にとっては十分であっても、多くの店舗に対して有効な支援になっていないのが現実だ。
しかも、新型コロナウイルスの感染拡大が客足に影響し始めてから、丸1年がたとうとしている。長期にわたる売り上げの減少は、業界にとってかつてない深刻な状況だ。
飲食業界全体の苦境を示す数字はなく、日本フードサービス協会では独自に調査を進めている。閉店数の試算以外に明らかになった数字の一つが、飲食関係の上場企業59社の短期借入金だ。一昨年12月から昨年3月までの間に各社が決算をまとめた時点では784億円だった。それが、協会が昨年10月に集計したところ、3656億円と4.6倍に膨らんでいた。2回目の緊急事態宣言前の数字なので、現在はさらに増加しているとみられる。しかし、借入を増やすにも限界があるという。
「銀行から融資を受けても設備投資に回すのではなく、家賃や人件費に払っている状態なので、経営上はマイナスにしかなりません。自己資本も減少していますし、上場企業であっても非常に厳しい状態になっています。
緊急事態宣言が再延長されましたが、仮に3月21日に解除されたとしても、客が100%戻ることはないでしょう。居酒屋など飲食を伴う業態にとって、3月は年末年始と同様に、送別会や謝恩会などの宴会需要が見込める1年の中でも重要な商機です。大きな商機が立て続けに消えてしまったことで、資金余力のない外食企業の体力は限界に達したと考えられます」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング