飲食チェーンの閉店は数千店 「売り上げ、どこまで下がるか分からない」上場企業の短期借入金は3656億円以上(3/3 ページ)

» 2021年03月10日 10時46分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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再延長を機に丁寧な議論が必要

 2月13日には新型コロナウイルス対策特別措置法の改正法が施行された。緊急事態宣言のもとで都道府県知事は施設の使用制限を「要請」できることに加え、正当な理由なく応じない事業者などには「命令」ができるように改正された。命令に応じない場合は行政罰として30万円以下の罰金が課されることになった。

 また、緊急事態宣言が出される前でも「蔓延防止等重点措置」が取れるようになり、政府が対象地域とした都道府県の知事は、事業者に対して営業時間の変更を「要請」し、応じない場合はやはり「命令」ができる。命令に応じない場合は20万円以下の罰金となる。法改正以前から、営業時間の短縮要請に応じない店の名前が公表できるようにもなっている。

 ただ、20年4月から5月にかけての1回目の緊急事態宣言では、営業時間の短縮の「要請」は幅広い業種に及んでいた一方、2回目の宣言では、「要請」の対象は飲食店とカラオケ店だけ。行政罰まで課されるのに、協力金が1店舗あたり1律6万円なのは、補償としての公平性に疑問が残る。日本フードサービス協会では、1回目の緊急事態宣言の時から家賃の支援など規模に応じた段階的な補償を訴えているものの、現時点で国の対応は変わらないままだ。

 「協力金は一律に支給されていますが、やはりきちんと区分けして、大企業への対応と、中小企業、個人事業主への対応を分けて考える必要があると思います。売り上げのマイナス幅が大きいところを2段階、もしくは3段階に分けて対応する方法もあるでしょう。

 飲食店の経営悪化は、政府や自治体の要請に応じて短縮営業を実施した結果です。政府は外出をしないことや、テレワークの呼びかけもしているので、全ての時間帯で客足は鈍くなっています。今後、緊急事態宣言のさらなる延長や、感染拡大の第4波が来ないとも言い切れません。緊急事態宣言の再延長を機に、きちんとした補償の在り方を、政府にはあらためて考えてもらいたいです」

 緊急事態宣言の再延長の影響で、飲食業界全体の売り上げがどこまで下がるのかは「現時点では全く読めない」という。すでに多くの雇用も失われている。飲食業界への対策は、いま一度丁寧な議論が必要ではないだろうか。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の改正について(厚生労働省のWebサイトより)
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