ZOZOGLASSの予約数は50万件 大手ファッションECが続々コスメ事業に参入する狙い進む化粧品業界のDX化(3/4 ページ)

» 2021年03月19日 15時00分 公開
[臼井杏奈ITmedia]

予約時点で50万件の注文……テクノロジー活用で商品との出会い方を創出

 デジタルシフトで化粧品の選び方も変化した。これまではカウンターのタッチアップや美容部員によるレコメンド、バラエティストアの棚で新商品を押し出せたが、オンラインではそうした偶然の出会いが少なくなり、SNS上の口コミやオンライン情報を元にした指名買いが主流だ。コロナ禍以前はSNSの情報をもとに来店し、テスターを使用する買い方も多かったが、今はその機会も奪われている。そのため肌トーンで選ぶべきファンデーションの色味も、SNSの影響で指名買いするケースが増えた。

 「ZOZOCOSME」ではこうした課題を解決すべく、テクノロジーを活用したカラーレコメンドを行う。その中核を担うのが「ZOZOGLASS」で、事前予約で50万件以上の注文が入るなどユーザーからの注目は高い。

 ユーザーは「ZOZOGLASS」をかけ、アプリ内で顔を計測する。「ZOZOGLASS」によってキャリブレーション(色調整)を行うことで正しい肌色を表示、メラニンとヘモグロビンを検出して肌の色味や明るさ、パーソナルカラーを診断する。

ZOZOGLASS(筆者撮影)

 実際に機能を使用してみると、その精度の高さに驚かされる。まず「ZOZOGLASS」をかけて計測し、その後「ZOZOGLASS」を外した状態で同じように計測。2度の計測は1分程度で終了した。結果はフェースパーツ別の色、パーソナルカラーなど事細かに表示される。計測は感覚的に操作でき、細かな知識を必要としない設計だ。また一度測定すれば次からも同じデータを活用できる。

 計測後にファンデーション一覧へ移動すると、自分の肌トーンにマッチした商品が上から順に並ぶ。さらに商品詳細ページでは自分の肌トーンにマッチしたカラーが提示されるのだが、筆者が試した際は日ごろから愛用するアイテム・品番がレコメンドされた。

レコメンドされた商品は愛用するアイテム・品番が表示

 スタート時点ではファンデーションの色味を提示するアシスト機能のみに活用されるが、今後はリップやチーク、マスカラの商品レコメンド、フェースタイプ診断、ARメーク(バーチャルメーク)など機能を拡充する予定だ。また計測結果だけでなく自身の好みや肌質からも商品検索ができる。肌悩みや好みのテクスチャーで絞り込めるため、スキンケアなどの課題解決商品も探しやすい。

 こうしたテクノロジーを活用した取り組みは「ZOZO」だけでなく、化粧品EC全体で増えている。AI(人工知能)、AR技術を提供するパーフェクトのバーチャルメークや肌チェック機能は、「コフレドール」や「ソフィーナiP」「ケイト(KATE)」の各ブランドサイトや公式LINEサービスで活用されている。しかしブランドを横断して似合う色、アイテムを検索するサービスは珍しく、その点でも「ZOZOTOWN」は利便性が高い。

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