「狙い打ち時短命令は違憲・違法」 グローバルダイニングが“104円”の損害賠償求めて東京都を提訴した理由「違憲・違法」と主張(2/3 ページ)

» 2021年03月22日 20時48分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

要請に応じて会社の経営は困難

 飲食店は新型コロナの影響で、1回目の緊急事態宣言以降、大幅な売上減に苦しんでいる。グローバルダイニングは20年12月期の決算で、15億円の赤字を計上。「投資に使うわけでもないお金を13億円借りて、生き延びてきた状態」(長谷川社長)という。

 店舗数や規模も大きい同社にとっては、緊急事態宣言中、要請に応じた店舗に支払われていた1店舗あたり6万円の協力金は、ほぼ意味がない。長谷川社長は命令によって営業時間を短縮した4日間の損害は「4000万円から5000万円にのぼる可能性がある」と明かす。要請に応じていたら、会社の経営を維持できなかった可能性がある。これがグローバルダイニングが要請に応じなかった理由の1つだ。

 しかし東京都は、要請に応じることが会社の経営を困難にするというグローバルダイニングの主張を、「正当な理由」とは認めなかった。

 グローバルダイニングでは、訴状で他にも「正当な理由」を主張している。その1つが要請自体が行政指導であること。法令違反をしているから要請するわけではない。あくまで任意の対応を求めるものだ。弁護団は、「正当な理由なく行政指導に応じないことが命令の要件であるという設定自体が、法令の仕組みとして破綻している」と主張する。

 さらに、飲食店が主要な感染経路である明確な根拠もない中で、営業を一律に制限することを可能にするコロナ特措法は、営業の自由を侵害するもので憲法違反だという主張も展開する。弁護団の倉持麟太郎弁護士は、今回の訴訟は「コロナ禍で露呈された日本の民主主義の脆弱さを問うもの」と説明する。

 「コロナ禍が始まって、昨年2月と3月に行われた学校の一斉休校は、本当に権限が総理大臣にあったのでしょうか。また、緊急事態宣言が本当に必要なのかどうかも、事後的な検証がなされていません。特措法の改正については国会で実質的な審議もなされていません。原告は命令には従っていますが、司法の場で命令について争っていきたいと考えています」

グローバルダイニングの展開する飲食店(出所:グローバルダイニング公式Webサイト)

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