ヤフーを傘下に置くZホールディングスとLINEが経営統合して、新生Zホールディングスが3月1日に誕生した。これにより国内最大規模のインターネットサービス企業が誕生したことになる。
GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)という巨人が日本でも大きな市場シェアを獲得していて、これに打ち勝つのは容易ではない。どのような施策を打つことで、ユーザーや企業にとって使いやすい、ライバル企業に勝るネットサービス企業になろうとしているのか。Zホールディングスの共同最高経営責任者(Co-CEO)に就任した川邊健太郎氏と出澤剛氏にインタビューした。なおこのインタビューは3月5日に実施した。
――新生Zホールディングスの売り上げ拡大のポイントとして、eコマースと広告マーケティングを挙げられました。eコマースで優位性があるアマゾンや楽天などに対抗するためには、具体策として何が必要だと考えていますか。
川邊氏: 日本のGDP(国内総生産)は世界第3位で、一定の国内需要がある一方、(買い物の)eコマース比率は10%強しかありません。1位の中国はこれよりもっと多く、米国でも日本の倍の比率があります。こうした状況を鑑みて当社は、ユーザーにとってより便利なサービスを提供することで、eコマースを伸ばしたいと考えています。
そのためには基本的な性能である「品ぞろえ」「探しやすさ」「物流面の届けやすさ」、さらには「お得感」を高めていきたい。そうすることによって、eコマース比率は上がってくると考えています。まずは自分たちが努力して、業界全体が切磋琢磨することが必要です。
――日本のeコマース比率が低いのはなぜでしょうか。
川邊氏: それはコンビニを含めリアル店舗が便利にできているためです。だからわれわれはそれを超える便利さを生み出していく必要があります。
――ヤフーは2019年にZOZOを買収するなどしてきました。今後、売り上げ拡大のためにM&A(企業の合併・買収)という手段を使う考えはありますか。
川邊氏: Zホールディングスと一緒にビジネスをやりたい企業があれば、M&Aも駆使してやっていきたい。
――物流網はどのように充実させるのですか。
川邊氏: ヤマトホールディングスとアライアンスを結び、一緒に物流網を強化していきます。もう一つの課題である「顧客へのラストワンマイル」については、LINEグループに加わった出前館があります。ここでのギグワーカーは昼と夜に料理を運んでいますが、それ以外の時間は空いていて「アイドルタイム」になっています。
ギグワーカーからも「もっと運ばせてほしい」というニーズがあるので、ネットワークを強固に組んで、さらにラストワンマイルを便利にすることにチャレンジしていきたいと考えています。
――LINEは傘下に入れた出前館に20年春、追加出資をしましたが、その狙いは何でしょうか。
出澤氏: 日本の出前文化には長い歴史があります。ただ、オンラインを使った出前の比率はまだまだ低いのが現状です。コロナ禍でユーザーだけでなく、店側にも出前をやりたい企業が増えてきています。世界の出前サービスも日本に進出してきていて、出前サービスはより便利になってきています。
出前館には「もっと一緒にやりたい」ということで出資を増やしましたが、料理の出前だけでなく空いた時間、つまり「アイドルタイム」に他の物品も届けられます。ここはリアルとネットが入りまじる部分で、大きな成長分野だと思います。
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