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» 2021年04月01日 15時03分 公開

赤字企業・JR東海の反転攻勢策と「東海道新幹線不要論」縮む需要を膨らませ(1/3 ページ)

「Beforeコロナ」の2019年度、営業収益1兆8446億円、純利益3978億円を稼ぎ、優良企業の代名詞でもあったJR東海の黒字を、コロナはいとも簡単に吹き飛ばし、2000億円を超える最終赤字に転落させた。そこからどんな反転攻勢を仕掛けたのか――。キーワードは「観光」だ。

[今野大一,ITmedia]

 新型コロナウイルスは企業活動に多大な影響を与えている。

 まだコロナが猛威を振るう前だった「Beforeコロナ」の2019年度、営業収益1兆8446億円、純利益3978億円を稼ぎ、優良企業の代名詞でもあったJR東海の黒字を、コロナはいとも簡単に吹き飛ばし、2000億円を超える最終赤字(20年度通期業績予想)に転落させた。

「Beforeコロナ」の2019年度、営業収益は1兆8446億円、純利益は3978億円を稼いでいた(以下、JR東海のWebサイトより)
2020年度通期業績予想では2340億円の赤字に

 同社発足以来初となる赤字決算になるばかりか、オンライン会議の定着などによる社会構造の変化も起こり、出張需要を取り込んできた「東海道新幹線不要論」まで飛び出している。JR東海はもはや社会的意義の薄れた存在になってしまったのか。

「赤字企業」JR東海の反転攻勢とは?(撮影:河嶌太郎)

JR唯一の黒字を達成

 さまざまな懸念が飛び交う中、渦中のJR東海は次々に手を打っている。

 キーワードは「観光」だ。JR東海の収益の柱は東海道新幹線であり、その利用目的はビジネスと観光に大別される。ビジネス需要は、出張する会社の予算や方針などに縛られることから、需要喚起は困難といわれる一方、観光需要はプロモーションなどにより膨らますことが可能だ。

 コロナ一色だった20年、JR東海は定番の旅から時間、場所、行動などをずらす「ずらし旅」をキャンペーンとして打ち出した。JR東海営業本部・荒井良介氏は「ずらし旅」について、「ずらすことにより新しい発見のある楽しい旅をつくることができ、結果として気になる人混みを避けることにもつながります」と狙いを話す。時勢に合ったコンセプトとしたことから話題となり、秋にはbeforeコロナの前年を上回る旅行商品の売り上げとなったという。

「ずらし旅」のCMには俳優の本木雅弘さんを起用。CM発表会には金子慎社長も登壇した。(以下提供:JR東海)

 年度を通じては2000億円規模の最終赤字が予想されているものの、緊急事態宣言が発令されなかった第3四半期(10-12月)に限定すると、純利益20億円の黒字化を達成している。同じく第3四半期、JR他社や航空会社が軒並み赤字だったことを考えると、「ずらし旅」を使ってGoToトラベルキャンペーンの需要をうまく取り込んだといえる。

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