赤字企業・JR東海の反転攻勢策と「東海道新幹線不要論」縮む需要を膨らませ(3/3 ページ)

» 2021年04月01日 15時03分 公開
[今野大一ITmedia]
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ビジネス需要は回復するのか

 新型コロナウイルス感染症の「終息」はまだ見えず、ビジネス需要の将来はまだ見通すことができない。もっとも、オンライン会議の一般化による「対面打ち合わせ不要論」に端を発する「東海道新幹線不要論」については、懐疑的な見方が多い。歴史を遡れば、2000年代はじめ、インターネットの発展により対面での打ち合わせが激減し、東海道新幹線の需要は次第に減っていくと予想されていた。

 08年、日本でiPhoneが初めて販売されて以後、「一人一台スマホ時代」が到来し、いつでもどこでも誰とでも会議が可能となったものの、東海道新幹線の需要はリーマンショック後の一時期を除いて増加の一途を辿った。インターネットの発展は、対面での打ち合わせを減らす方向ではなく、人と人との結び付きを強め、対面で会う機会を増やす結果となった。

 「afterコロナ」では、beforeコロナに比べて、テレワークやオンライン会議が増加するとみられる一方、人の行動様式は極端には変わらないだろう。コロナによって対面での打ち合わせがほぼなくなり、長距離移動の需要が激減するという見立ては極論に近しい。だが一方で、コロナは鉄道・航空各社に大きな影響を与えた。その中で、今後も何らかの施策を打っていかなければならないだろう。

 感染症はいつかは終息を迎えるものの、まだまだ落ち着く気配はない。コロナ流行後、次々と機動的な動きを見せ、第3四半期黒字化達成など復活の萌芽を見せるJR東海の「生き残り戦略」は成功するか。

JR東海の金子慎社長
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