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» 2019年02月22日 07時00分 公開

「国宝王国」の新たなコンテンツは“かき氷”:JR東海が「駅のない」奈良で観光キャンペーンを仕掛ける理由 (1/6)

JR東海が「駅のない」奈良で観光キャンペーンを仕掛けるのはなぜか? 「そうだ 京都、行こう」によって、京都を、日本を代表する観光地に押し上げた再現はなるか。

[今野大一,ITmedia]

 JR東海の観光キャンペーン「そうだ 京都、行こう」。

 ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の一曲である「My Favorite Things」の軽快なリズムにのって、桜や紅葉とともに神社仏閣の映像が流れるテレビCMをご存じの方も多いのでは。

 「そうだ 京都、行こう」の観光キャンペーンは、京都を、日本を代表する観光地に押し上げた原動力の一つだ。ただ、最近、意外な観光地が注目を集めている。それは「奈良県」だ。鹿や社寺、仏像などが有名ではあるが、なぜ奈良県が? と思われる読者もいるだろう。

phot JR東海が展開するキャンペーン「うまし うるわし 奈良」(JR東海提供)

「観光BIG4」に迫る5位にランクイン

 数値で見てみよう。ブランド総合研究所の調査「都道府県&市区町村の観光意欲度ランキング2018」によると、観光したい都道府県1位は北海道で、以下京都府、沖縄県、東京都と続く。北海道、京都府、沖縄県、東京都は「観光BIG4」といっても差し支えないメジャーなスポットだが、そのBIG4に迫っているのが、5位にランクインした奈良県なのだ。

 JR東海は2005年から「うまし うるわし 奈良」の名称で、奈良の観光キャンペーンを展開しているのだが、実は奈良県内には、JR東海の駅は一つもない。「うまし」とは万葉集から引用した言葉で、「立派な、素晴らしい、美しい」という意味がある。また、「うるわし」は古事記から引用した言葉で、「美しく立派、見事」という意味だ。

 JR、私鉄問わず、沿線エリアの観光キャンペーンを展開している鉄道会社は多い。沿線に人を惹きつける観光地ができれば、乗客を「創り出す」ことができるからだ。例えば埼玉西武ライオンズ(西武鉄道)、近鉄バファローズ(近鉄)、阪急ブレーブス(阪急電鉄)、南海ホークス(南海電鉄)など、鉄道会社がプロ野球の球団を所有することも多かった。これも乗客を「創り出す」施策の一環といえる。

 目的が「乗客の創造」であることを考えると、あくまで沿線に絞ってキャンペーンを展開するのが当然で、自社の駅が一つもない奈良県の観光キャンペーンを、JR東海が仕掛けるのは奇異に映る。

 この疑問をJR東海にぶつけたところ、「奈良も東海道新幹線の沿線と考えています」という答えが返ってきた。「当社では、旅行需要を喚起し、鉄道利用を促進する方策として、当社沿線の歴史・文化・遺産などの宝庫である京都や奈良などを中心に観光キャンペーンを展開しています。例えば、首都圏から奈良に行く場合、京都駅まで東海道新幹線をご利用していただけるため、奈良も東海道新幹線の沿線と考えています」(JR東海広報部東京広報室の檜垣恵美氏)ということだ。

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