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JR東海が「駅のない」奈良で観光キャンペーンを仕掛ける理由「国宝王国」の新たなコンテンツは“かき氷”(5/6 ページ)

» 2019年02月22日 07時00分 公開
[今野大一ITmedia]

着実な「キャンペーン効果」

 JR東海は媒体による露出も強化している。最近の首都圏ではテレビCMや鉄道の車内広告などで「うまし うるわし 奈良」のキャッチコピーを目にする機会も増えただろう。こうした露出増加の効果と、地元の奈良県や各自治体、社寺との連携によって着実に成果をあげている。

 17年に奈良県を訪れた観光客は4420万人で、5年前と比較すると873万人増えた(「平成29年奈良県観光客動態調査報告書」より)。

 「平城遷都1300年祭が開かれた2010年をピークに、一時は観光客数が3000万人台まで落ち込みましたが、17年は1300年祭のときに迫る勢いで増え、多くの観光客の方に訪れていただきました」(前出の奈良県松田さん)

 また、どの地域から奈良を訪れたかを調査した「来訪者の発地割合」を見ても、宿泊者の36.9%が東京や神奈川、千葉などの「関東圏」からだった。前出の松田さんは「奈良県としても宿泊観光客をいかにして増やすかが課題となっているため、キャンペーンの意義は大きい」と語る。

 また、意外な事実だが、奈良県は長らく客室数(旅館・ホテル合計)で全国ワーストとなっていた。だが、20年にマリオット・インターナショナルの最高級ホテルブランドである「JWマリオットホテル」が日本で初めて奈良県で営業を始める予定で、22年には飛鳥時代の宮殿や史跡が多く発掘されている明日香村に「星野リゾート」もできるなど、昨今の人気の高まりを受けて次々と高級ホテルが開業される予定となっている。

phot 5年で873万人増やした(「平成29年奈良県観光客動態調査報告書」より)
phot 観光客増の理由に挙げられている(「平成28年奈良県観光客動態調査報告書」より)

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