経営危機を救ったビジネスモデルが沖縄から全国に拡大中 車の購入法、人気に火借金は1億円に

» 2021年04月05日 09時32分 公開
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 西自動車商会(沖縄市)が1998年に始めた個人向けカーリースのビジネスモデルが、全国に広がっている。発案したのは、津嘉山修社長。先代から継いだ整備工場の経営を立て直すため、信販会社から転身した。車検など購入後に生じるメンテナンス費用を含め、5年のリース期間の月々の支払いが一定のため、主婦層から人気が出て契約を伸ばしてきた。所有せず月額制で利用するサブスクリプションの普及も追い風に、全国のチェーン加盟店は240店まで増加。昨年度は5600台を売り上げた。(政経部・照屋剛志)

西自動車商会の津嘉山修社長=沖縄市の同社

 津嘉山社長の入社は97年。西自動車商会は車検整備を主力としていたが、工場が増えて競争が激しくなり、売り上げが落ち込んでいた。

 借金は1億円にまで膨らみ、経営は危機的状況。信販会社で法人向けカーリースを扱った経験のある津嘉山社長は、個人向けリースで打開を図る。

 車両代に加え、自動車税、車検、オイル交換など購入後のメンテナンス費用も全て含め、新車を5年間でリースする仕組みだ。ただ「車は買うのが当たり前」(津嘉山社長)の当時、初年の98年は売れたのが12台だけだった。

 毎月の支払いを均等にすることで、先々の出費を予想できるメリットをチラシなどでPRすると、家計を預かる主婦層を中心に人気が出てきた。2年目に80台、3年目は250台と販売台数は右肩上がりで伸びた。

 新車販売にメンテナンスを組み込むことで、本業の自動車整備にも購入客を誘導できた。津嘉山社長は「整備工場を自前で持っているからこそ、お客さまと長くお付き合いできるサービス」と説明する。

 2006年から、加盟店が対等に付き合うボランタリーチェーンで全国展開に乗り出した。ただ、販売マニュアルと研修をセットにした商材の売り切り。永続的に収入を得る仕組みではないため、全国で販売台数が拡大しても同社の収入は少ない。

 津嘉山社長は「経営に行き詰まった小さな整備工場が考え出したサービス。同じ境遇の整備工場の役に立ちたい」とする。「売って終わりではなく、長く乗ってもらう観点を持つ整備工場のサービスとして広がってほしい」と話した。

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