今なぜ若者がインデックス投資? 流行の陰につみたてNISAとYouTuber(2/2 ページ)

» 2021年04月23日 16時40分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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つみたてNISAで投資できる商品は9割がインデックス

 つみたてNISAは非課税期間が長く優遇される代わりに、取り扱える商品は金融庁が定める条件を満たしたものだけだ。現在、193本中174本がインデックスファンドまたはETFとなっており、つみたてNISAを使う人は基本的にインデックスファンドに投資することになる。

 篠田氏は、「インデックスファンドを料理店に例えると、全国どこでも安定した味を提供するチェーン店」だと評する。ファンドマネージャーが腕を振るうアクティブ型のファンドに比べて、信託報酬と呼ばれるコストも低い。

 インデックス投資が増加した背景には、投資信託を提供する運用会社の手数料引き下げの影響もある。「eMAXIS Slim」ブランドでインデックス型の投資信託を運用する三菱UFJ国際投信では、直近7カ月で純資産総額が倍増し、1兆円を超えた。業界最低水準の手数料を標ぼうしており、米国株式インデックスであるS&P500に連動する投信では、信託報酬は0.0968%まで下がっている。

低コストインデックスファンドとして人気を博すeMAXIS Slimシリーズは、直近7カ月で純資産総額が倍増した(三菱UFJ国債投信)

 証券会社側でも、積み立てを促進する還元キャンペーンを拡大している。楽天証券は月間の投信積立額が350億円を超えているが、この躍進のきっかけとなったのが、グループの楽天カードを使って投資することで、積立額の1%を還元する仕組みだ。さらに、保有する投信残高に応じてポイントの還元も行っており、この還元は信託報酬の中から販売会社に支払われる額を上回る場合もあると見られる。

YouTuberの影響力が急伸

 そして、実は投資YouTuberの台頭が、ブームに一役買っている。「SNSや投資YouTuberの影響力が大きい。インデックス投資の情報が増えていて、浸透してきている」(篠田氏)

 楽天証券の調査によると、この1年で投資情報収集方法として、YouTubeは6.2%から30%へと躍進した。今や、新聞やニュースなどを抜いてトップクラスだ。さらに、YouTubeを参考にする比率は、20代の場合46.2%、投資歴1年以下の初心者の場合48.6%に跳ね上がる。

個人投資家の情報収集はYouTubeにシフトした。20代や初心者では、約半数がYouTubeをメインの情報収集としている(楽天証券)

 投資家にとって幸いだったのは、YouTuberの投資情報に比較的堅実な内容が多いことだろう。「上がる銘柄はこれだ」といったものよりも、インデックス投資を中心としたマネーリテラシーや経済動向にかかわるものが多い。本来であれば、対面証券会社などが果たすべき役割だった長期・分散・積立の促進が、YouTuberによって行われているのは、投資情報についても世代交代が始まっていることを表しているのかもしれない。

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