そんなサクラ革命だが、セールスランキングの推移などを勘案すれば、ゲームとしての評価はさておき、早期撤退の姿勢自体は評価できるといってよい。
なぜなら、多額の開発費をかけたゲームや新規事業では、経営上の意思決定のレベルで撤退時期の遅れが発生しやすくなる心理的要因も強く、これがたびたび企業本体に深刻なダメージをもたらすこともあるからだ。
サクラ革命に対して今までにかけた運用費や開発費は「サンクコスト」として、運営側の意思決定にバイアスをかける。投資で負けが込んできたときに、ポジションを損切りするのではなく、むしろ追加で大きく張って一発逆転を狙うイメージだ。
サクラ革命でも、事前登録達成の報酬として著名なVtuberとのコラボレーションや新たなキャンペーンが企画されていたため、明確な撤退基準がなければ「この企画まではいったん継続してみて、その反応を見てから撤退を決めたい」という意思決定になっていたはずだ。しかし、本作ではこれらのキャンペーンの実現を待たずに撤退という形となった。
しかし、このことは事前に明確な撤退基準と、その基準に従った意思決定プロセスが策定されていたことも同時に表している。企業全体に対する致命的なダメージを回避したという点で評価に値する。
なお、投資先行によって赤字が拡大した場合でも、競合よりも伸び率が向上していたり、アプリストアのレビューが高く品質面では問題がなかったりという点で、戦略的にサービスを継続して経過観察する例もある。
しかし、本作が4カ月目でサービスの終了に踏み切ったことは、そのような定性面での事情を鑑みたうえでもなお撤退が妥当であると判断された結果なのかもしれない。
中央大学法学部卒業後、Finatextに入社し、グループ証券会社スマートプラスの設立やアプリケーションの企画開発を行った。現在はFinatextのサービスディレクターとして勤務し、法人向けのサービス企画を行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。
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