タイム誌初の「世界の企業100選」 日本企業は入ったのか?世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2021年05月06日 09時52分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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任天堂、ソニー、ソフトバンク

 現代を象徴するような名だたる企業の中に、日本企業も3社入っている。

 まず革新的企業の一つに選ばれた任天堂だ。記事は同社をこう紹介する。「任天堂とNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)は仮想コミュニティーの中で気晴らしできる場所を提供している。任天堂の開発したゲームで、家を建てたり物を売買したりしてコミュニティーを作っていくどうぶつの森(英語名、Animal Crossing)シリーズはポップカルチャーを席巻した。さらに自宅でエクササイズができるリングフィット アドベンチャー(Ring Fit Adventure)は人気ソフトになった」

革新的企業に選ばれた任天堂(出典:任天堂)

 リーダー的企業のカテゴリーに、ソニーが選ばれた。記事で取り上げられたのは、PlayStation 5である。日本ではいまだに手に入りにくい状態が続いているようだが、「コロナ禍でサプライチェーンに問題が生じているのにもかかわらず450万台を売った」と書いている。また、米国でも4月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が話題になったと紹介している。

リーダー的企業にソニーが入る(出典:ソニー)

 さらに日本からは、ソフトバンクも入っている。巨大企業のカテゴリーに名を連ねる同社は、「サウジアラビアの政府系投資ファンドに支援されているソフトバンク・ビジョン・ファンドは、ウーバーやウィワークなどテック系ユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の非上場ベンチャー企業)に投資を行なって、シリコンバレーを変えた」

 だが最近、多額の損失を出しているとも指摘。今後どう盛り返すのかが注目される、といったニュアンスの記事になっている。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが評価されソフトバンクも選ばれる(出典:ゲッティイメージズ)

 もちろんこれら以外でも、日本が世界に誇る企業は存在する。トヨタなどは誰もが認める世界的な企業であるが、創造的破壊企業に選ばれている電気自動車大手テスラのような旬な話題性はないので取り上げられていない。当たり前すぎて取り上げるまでもない、という見方もできるが。

 とはいえ、この特集で取り上げられた今をときめく世界の企業は、ビジネス分野における世界の動向をチェックする意味でも、ビジネスパーソンとして知っておいて損はないだろう。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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