3月19日、茨城県ひたちなか市の半導体大手ルネサスエレクトロニクスの那珂工場で火災が発生した。
同社は主に自動車向けの半導体を扱っていたが、今回の火事によって生産が停止。元の生産水準に戻すには1カ月はかかると見られている。現在、自動車やスマホなどで半導体の需要は高く、供給が追いついていないのが実態で、日本の産業界に衝撃が走ったのは間違いない。
その重要度を示すように、政府もこの件についてコメントした。ロイター通信によれば、加藤勝信官房長官は「半導体は産業のコメともいわれ、経済社会を支える極めて重要な基盤の部品」と述べた上で、「代替装置の調達支援など経済産業省でしっかり対応していくとした。自動車向け半導体が世界的に供給不足となる中で、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化などさらなる対策強化を検討する考えを示した」と報じている。
この火災のニュースを受け、ある界隈がざわついた。経済安全保障の関係者たちである。経済安全保障とは、経済と安全保障が一緒になって国家の脅威になっていることを指す。米国が中国企業を安全保障の脅威として排除しているのが、その最たる例である。
今回のルネサスの火災については、現時点で分かっている情報を見ていきながら、経済安保の観点から、この火災事件からどんなことが学べるのか、何を日本のビジネス界が気をつけるべきか考察したい。
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