ルネサス火災の真相は? セキュリティ関係者が疑っている「こと」世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

» 2021年03月25日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

ルネサス火災の顛末

 今回のルネサスエレクトロニクスの火災の顛末(てんまつ)について、関係者の話をまとめるとこうなる。

 3月19日の夜中の2時27分に、主力製品を生産する生産棟で、半導体にめっきを施す装置から火災が発生した。白い煙が上がっているのを従業員が発見して消防に通報したのだという。

 今のところはまだ調査中ではあるとの前提で、関係者はこう言う。

 「警察が来て、現場検証は19日の午前中に事件性はないとして3時間ほどで終了した。生産過程で流す電流に異常が起き、過電流になった。その装置に燃えやすいシリコン樹脂が使われており、発火しやすくなっていたこともある。その部分を今後は変えないといけないと考えています」

 そして、放火など可能性は低いと見られていると、この関係者は語る。「ただ、なぜ過電流になったのかは、まだ原因が分かっていない。さらに言うと、本来なら火災時にはブレーカーが落ちることになっていたのに、それも作動しなかった」

 今回のニュースを見て、まず思い浮かんだのは、ある経済安全保障に携わる政府の関係者が以前筆者に語っていた話だ。「今の時代、先端技術をもつ工場などはかなり警戒しておく必要がありますよ。以前、とある国の企業から技術提供を持ちかけられた日本のテクノロジー系会社がその提案を断ったんですが、そのすぐ後に工場が何者かに放火されたことがあった。もちろん、その企業が関与しているかどうかは分かりません」

 この話の真偽は不明だし、ルネサスの火事が放火だったと言うつもりは毛頭ない。だがかなり立場のある人物なので、そんな話もあったのだろうと考えられる。

 今回のルネサスのケースでいうと、日本の技術力を求めている人たちがいて、さらには、その技術力が世界の競争の中で脅威に思われているということである。こうした認識を持つべきだという文脈で、この関係者はそう語ったのではないだろうか。

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