三菱地所が手掛ける日本一の高層ビル「Torch Tower」 空中散歩道の設計者に狙いを聞いた東京の新名所へ(1/2 ページ)

» 2021年06月15日 08時00分 公開
[中西享ITmedia]

 東京・丸の内周辺の大地主である三菱地所が、世界に誇る日本の新たなシンボルとして、東京駅前常盤橋街区の再開発プロジェクト「TOKYO TORCH(トウキョウ トーチ)」に着手している。

三菱地所が、東京駅前常盤橋街区の再開発プロジェクト「TOKYO TORCH(トウキョウ トーチ)」に着手している(以下、イメージCGは三菱地所設計提供)

 ビルの高さ、延べ床面積など、初物尽くしの超高層ビル「Torch Tower」に加えて、このビルの低層部に巻き付くようなデザインの全長2キロの空中散歩道は世界に例を見ない斬新な設計だ。完成すれば東京の新名所になるのは間違いない。この建築のコアアーキテクトとデザインアドバイザーに話を聞いた。

永山祐子(ながやま・ゆうこ) 1975年生まれ。1998年から2002年まで青木淳建築計画事務所勤務、02年に永山祐子建築設計設立。20年武蔵野美術大学客員教授。主な作品は、ルイヴィトン京都大丸店、豊島横尾館、女神の森セントラルガーデン、ドバイ国際博覧会日本館など。東京都出身
永田大輔(ながた・だいすけ)1978年生まれ。2004年三菱地所設計入社。現在同社デザインスタジオ兼TOKYO TORCH設計室チーフアーキテクト。主な作品は、グランフロント大阪南館、近鉄博多ビル(都ホテル博多)など。東京都出身

3万人の街が誕生

 東京・丸の内に本社を置く上場企業は115社、ここで働く従業員は約28万人だ。これを収容しているビル群が約100棟あり、そのうち約30棟を三菱地所が運営管理している。文字通り最大のビル大家だ。丸の内はこれまで東京駅の玄関口として発展してきた。同社は2020年以降の街づくりを「丸の内NEXTステージ」と位置付けて、人の交流による新しい街づくりを目指そうとしている。

 「TOKYO TORCH」の場所は、東京駅日本橋口を出てすぐ、現在、日本ビル、朝日生命大手町ビルなどがある街区で、これらのビルもこれから解体、開発される。プロジェクトは大きく分けて「常盤橋タワー」と「Torch Tower」の超高層ビルからなり、「常盤橋タワー」はこの6月末に完成する予定だ。

常盤橋タワー(A棟)3Fカフェテリア

 「常盤橋タワー」は地上38階建て、高さ212メートルの高層オフィスビルで延べ床面積は14万6千平方メートル。そして広場を挟んで2027年度に完成を予定している「Torch Tower」は地上63階建て、高さ390メートル、延べ床面積54万4千平方メートルの超高層ビルで、現在最も高い大阪の「あべのハルカス」を抜いて日本一高いビルになる。

 地下1階から6階までは商業施設が入り、日本文化を五感で味わえる飲食店舗とエンターテインメント施設を中心に構成、銭湯発祥の地ともいわれる常盤橋ゆかりの温浴施設「常盤湯」を設ける。3階から6階には現代の芝居小屋をモチーフにした大規模ホール(約2000席)を作る。57階から61階は国際級の高級ホテルの入居を予定、62階と屋上には富士山を見ることができる展望施設を設ける。

 2つのビルが完成すると約3万人が働く新しい街が生まれることになり、丸の内・大手町からJRを挟んだ東京駅の北側に一大ビル群が出現する。

全長2キロの空中散歩道
「Torch Tower」
Torch Tower(B棟)の横丁空間
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