QBハウスがコロナ禍でも「客を離さない理由」 秘密はビジネスモデルにあり奥村美里「あの企業の意外なビジネスモデル」(5/5 ページ)

» 2021年05月31日 07時00分 公開
[奥村美里ITmedia]
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QBハウスの今後 - これからもQBハウスは勝ち残り続ける企業となるか

 1000円カットで名をはせていたQBハウスでしたが、実は2019年2月に値上げし現在は1200円カットとなっています。とはいえ200円値上げしても、業界内では屈指の安さでありほかの理美容室にはお客は流れていない模様です。なぜそれが分かるかというと、値上げ以降コロナ前まで既存店売上高が100%を超えているためです。

(2020年6月期3Qの決算資料より)

 各月売上高の前年同期比較を見ると、2月以降はコロナの影響で下がっていますが、200円値上げしても客足はほぼ離れていないことが確認できます。値上げ後の19年7月〜20年1月の既存店売上高は100%を超えているのです。やはり200円値上げしても、業界内では屈指の安さであり、他理美容室に流れ込んではいないようです。

 ここで注意なのは、売上高ではなく「既存店」売上高です。売上高のみに着目してしまうと新規出店分も計上されるため、本来のその企業の「お客を離さない力」が不透明になります。既存店売上高であれば、昨対比でお客を離さない力が分かります。

 さて、値上げしたものの目下はコロナ禍による外出自粛、カットサイクルの長期化により売り上げ減少が続いています。しかし、ただ指を加えて待つのは同社らしからず。多くの対策を打っています。

例えば、

  • 早特キャンペーン(早期予約で割引。カットサイクル短縮化を目指して客数向上を目指す)
  • ダイナミックプライシング(混雑時は需要に合わせて値上げをし、単価向上を目指す)

 さらに、お客からのマネタイズに限らず、企業側からも広告モニター設置による売り上げ向上も目指しています。果敢に外部環境に柔軟に対応する同社は、コロナ禍でもコロナ後でもお客を離さずにい続けるのではないでしょうか。

筆者プロフィール:奥村美里

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Twitter @OkumuraMisato


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