QBハウスがコロナ禍でも「客を離さない理由」 秘密はビジネスモデルにあり奥村美里「あの企業の意外なビジネスモデル」(1/5 ページ)

» 2021年05月31日 07時00分 公開
[奥村美里ITmedia]

 皆さまはQBハウスに対し、どんなイメージをお持ちですか? おそらく「早い・安い」が先行して想起されるのではないでしょうか。

 ご想像の通り、キュービーネットが運営するQBハウスは、「10分で1000円カット」を標ぼうし全国で名をはせています。早い、安いながらも元野田佳彦首相も愛用するなどカットクオリティも保証されています。

 QBハウスは現在、その早さと安さをかてにして、日本一店舗数が多い理容室(海外含め580店舗超)となっております。

 しかし、なぜQBハウスはここまで拡大できたのでしょうか。早いから? 安いから? 確かにそうかもしれません。しかしそれだけでは拡大できないのがビジネスの世界。今回は早い安いに裏打ちされたQBハウスの強みについて紹介します。

QBハウス創設の経緯 - なぜ1000円カットは生まれたのか

 QBハウスの創業者である小西國義氏は、なんと55歳で同社を起業しました(同氏は「年金がもらえる65歳にはスパッと辞める」と豪語しており、その公言通り同社を65歳のときに売却しています)。

 ライフネット生命の創業者出口治明氏(58歳創業)、カーネル・サンダース(65歳創業)と肩を並べてもいいのではないでしょうか。挑戦に年齢は関係ありません、勇気が出る数字ですね。

 同氏が1000円カットを思いついたきっかけは以下です。

 行きつけのホテル内の理容室で髪を切ってもらっていたときに、タオルを取りに行ったり、ホウキを取りに行ったりと、ムダ時間が多いと感じた。このムダな時間のコストもわたしが支払っており、これを改善できないかと考えた(ITmedia記事より)

 このように、QBハウスは小西氏の、「もっと理美容室のムダを削ぐことはできないか」から生まれました。髭(ひげ)そりなどムダを削ぐだけではお客がよってこないため、びっくりするくらいの価格(=1000円)で客をひきつけつつ、カットに特化したビジネスを展開します。

 もちろん、ムダを削ぎ10分カットにすることで回転率が上がることを見越して。

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