平均7764万円! 経済が振るわなくても、タワマンが売れている理由“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)

» 2021年06月09日 08時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

「今しか買うチャンスがない」と考える人が増えている?

 では、なぜ多くの人が、ここまでしてマンションを買おうとしているのだろうか。その理由は、今のタイミングを逃すともう物件を買えないと考えているからだ。

 日本は今後、人口減少が進み、国内市場は急激に縮小する。しかも、政府は企業に対し、事実上、社員を一生涯雇用するよう求めており、総人件費は膨らむ一方である。市場が縮小する中、企業が社員の面倒を一生見ることになれば、平均賃金はさらに下がらざるを得ない。一方、コロナ危機をきっかけに、日本を除く世界各国はコロナ対策と次世代投資(AI化)に巨額の財政支出を行っており、金融市場では今後、景気の過熱とそれに伴う激しい物価上昇が予想されている。

マンション契約率の推移(出典:不動産経済研究所)

 ここ10年、マンション価格は上昇を続けてきたが、その理由の一つとして全世界的な資材価格の高騰がある。海外の物価がさらに上昇すれば、マンション建設に必要な輸入資材の価格も上がるので、販売価格を引上げざるを得ない。

 人口が減ると、都市部への人口集約が発生し、首都圏にはさらに多くの人が転居してくるので、(首都圏に限って言えば)将来、マンションはますます足りなくなる。賃金上昇が見込めない中、価格だけが上昇を続ける可能性が高く、物件も希少ということになれば、今しか買うチャンスはないと考える購買層が増えても不思議ではない。

 こういうことを書くと不動産業界からカネをもらっているなど、意味不明の誹謗中傷を受けるのだが、筆者は投資やビジネスで成功しており、贅沢(ぜいたく)をしなければ一生涯、生活には困らないレベルの資産を保有している。誰かから小銭をもらって事実と異なる記事を書くなど100%あり得ないので、この記事も事実を元に淡々と分析しているに過ぎないことを理解してもらいたい。

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